上腕骨小頭離断性骨軟骨炎の手術治療回避に有用か? | Nクリニック - 大阪府岸和田市 整形外科・スポーツ整形・リハビリテーション

トップ>体外衝撃波治療>上腕骨小頭離断性骨軟骨炎の手術治療回避に有用か?

体外衝撃波は上腕骨小頭離断性骨軟骨炎の手術治療回避に有用か?

中里伸也(医療法人Nクリニック)
島田幸造(JCHO大阪病院整形外科)

Is the Extracorporeal shock wave therapy (ESWT) useful device to avoid the surgical treatment of the osteochondritis dissecans of the Humeral Capitellum?

はじめに

2016年に取りまとめられた国際衝撃波学会(ISMST)の指針 1) によると、関節症のない早期の離断性骨軟骨炎や早期の骨壊死は集束型体外衝撃波の標準的適応とされている。離断性骨軟骨炎に対する集束型体外衝撃波の発表を最初に行ったのは我々の渉猟しえた範囲では2000年のHeidersdorf S 2) らと思われるがその内容は不明である。またR Lyonらは2014年 InvitroでESWTの軟骨への効果を検証している 3) 。日本での発表は松浦哲也らが2018年と2020年に肘離断性骨軟骨炎に対する体外衝撃波治療を発表し、その中でも骨壊死や偽関節への有効性が示唆される体外衝撃波に肘離断性骨軟骨炎に対する可能性を求めたといっており、また今後有効な治療法になりうる可能性を秘めているといっている 4) 。坂井周一郎らが2019年投球に伴う上腕骨小頭離断性骨軟骨炎に対する集束型体外衝撃波の治療経験ということで2例の症例報告をしている 5) 。伊藤岳史や岩堀祐介らのグループも2019年、2020年に上腕骨小頭離断性骨軟骨炎に対する集束型体外衝撃波治療の効果について7例に対して発表を行っているが、画像上の改善が4例、不変が3例で、発症からESWT施行までが長いと修復が不十分である傾向があるといっている 6) 。つまり罹病期間が少なければ少ないほど良いと言及している。しかしながら、それらの発表ではいずれも数例の症例報告や治療効果についての傾向を示す考察だけで、どのような症例について効果的であったということは明確にされていない。我々の施設でも2018年に集束型の体外衝撃波を導入し、様々な疾患に対して行ってきた。その中の疾患の一つが今回症例をまとめた離断性骨軟骨炎である。当院では上腕骨小頭、大腿骨外顆内顆、距骨滑車の離断性骨軟骨炎や、大腿骨頭や膝関節の骨髄浮腫病変(Bone Marrow Lesion)や早期の骨壊死に対して多くの、集束型の衝撃波治療を行ってきた。その中で若年層のアスリートに多い、上腕骨小頭の離断性骨軟骨炎に対する体外衝撃波の臨床成績について後ろ向き調査を取りまとめることができたので報告する。

目的

今回の目的は、上腕骨小頭離断性骨軟骨炎(以下、肘OCD)に対する集束型体外衝撃波(以下、ESWT)の治療成績を分析し、成績に影響する因子を調査して、ESWTが手術治療の回避の点で有用であったかを検証することである。

対象と方法

当院で2018年8月から2020年8月までESWT治療を行い追跡可能であった肘OCD20例20肘を対象とした。平均年齢は12.9才(11~16)男性17例、女性3例。スポーツ種目は野球15例、体操競技2例、ソフトボール1例、剣道1例、BMX1例であった。

ESWTはDUOLITH SD1(STORZ MEDICAL, Switzerland)を用いた。照射はCTやMRI画像を参考に、被験者を肘最大屈曲させて、超音波検査でOCD病変の位置を決め、マーキングして、病巣部分に固定式アームは使わずフリーハンドでハンドピースを把持して照射を開始する。低いレベルから徐々に出レベルを上げていき、被検者の疼痛の耐えうる範囲の出強度まで上げて行った。出レベルは上腕骨小頭の骨端線閉鎖前では最大0.20mJ/㎟まで、骨端線閉鎖後では最大0.25mJ/㎟までとした。同部位を照射していると痛み刺激が弱くなり消失してくるので、病巣部位を立体的に想定しながら被検者の痛みの程度を細かく聞きながら、できるだけ多方向から病巣全体に照射できるように努めた。原則として2週間から3週間毎に、2500shotsを4Hzで照射した。数回照射した後の画像フォロー後の照射では、疼痛出現部位だけでなく、その画像所見で修復が得られていない部位を重点的に照射するようにした。

治療の続行と中止の判断及び競技復帰の時期
前回の画像と比べて改善が認められている間は治療の続行を推奨した。一方、前回の画像と比べてほとんど変化がなくこれ以上ESWTによる改善が期待できない症例に対しては基本的に治療を中止して手術を勧めた。ただし社会的理由ですぐに手術を受け入れることはできない場合もあるのでESWT治療を継続させるかどうかは任意とした。
CT画像で上腕骨小頭に占める病巣部の面積が10%未満になると骨癒合が得られた(完全修復及び不完全修復)として、徐々に競技復帰させた。競技中止期間から競技完全復帰までの期間までも理学療法士によりストレッチや筋力バランストレーニング、投球フォームチェックによる改善などのメディカルリハビリからアスレティックリハビリを行った。またすべての症例に対してLIPUS(低出力超音波パルス)を推奨してできるだけ回数を多く行うように推奨した 7)

Materials

初診時単純X線像による岩瀬の分類 8) で、透亮期5例、分離期前期9例、分離期後期6例。予め遊離期や腕橈関節の適合性不良や橈骨頭の近位化や前方亜脱臼や肥大など関節症変化を伴った症例は適応から除外した。

上腕骨小頭の骨端線閉鎖前の症例は13例、閉鎖後の症例は7例であった。

画像のフォローはX線画像かCT画像で行った。

CT画像により最終的に骨癒合が得られ完全修復したものを「Excellent」、骨癒合は得られたが関節面のずれが残るものの不完全修復したものを「Good」、骨癒合は部分的に認められるが病変が不安定なものを「Fair」、全く骨癒合が得られないものを「Poor」とし、「Excellent」と「Good」を修復ありとした。病巣占拠率は冠状面の中で一番大きく病巣が写っている画像を選び、その画像での小頭の面積に対する病巣の面積の比率とした。(病巣占拠率=病巣の面積÷小頭の面積)
なお骨癒合が得られた指標は病巣の小頭に対する占拠率が10%未満となったものとした。

正常な修復過程

  • 左から照射前 2か月後 4か月後 6か月後のCT

    左から照射前 2か月後のCT 4か月後 6か月後のCT

修復が得られなかった症例

  • 左から照射前 2か月後 4か月後のCT

    左から照射前 2か月後 4か月後のCT

病巣占拠率及び修復の指標

  • 病巣占拠率及び修復の指標

病巣占拠率=病巣の面積÷小頭の面積

病巣占拠率は冠状面の画像の中で一番病巣が大きく写っている画像を選び、その画像での小頭の面積に対する病巣の面積の比率とした。

骨癒合が得られた指標は小頭の病巣占拠率が10%未満となったものとした。

成績に影響すると予想された因子は以下の8つである

① 病変の安定性:X線による岩瀬の病期分類 8) 、CTによる評価 9) 、一部MRIによる評価 10)
② 上腕骨小頭の骨端線閉鎖の有無
③ 病巣の占拠部位(中央型、外側型、広範囲型) 11)
④ 病巣の大きさ:径や深さや面積及び病巣占拠率をCT画像により測定
⑤ 治療期間や治療回数
⑥ 罹病期間(発症からESWT開始までの期間):成績良好例 VS 成績不良例
⑦ 治療に専念の有無
⑧ LIPUS(低出力超音波パルス)の併用の有無 7)

これらの項目について結果をもとに検討した。統計学的検討はt検定を用い、危険率5%未満を有意とした。

結果及び考察

ESWTによる病変部の増悪例はなかった。また照射時に疼痛を訴える以外の有害事象を生じた症例はなかった。

臨床成績
Excellent 5例 Good7例 Fair8例 Poor0例 修復あり(Excellent及びGood) は20例中12例で修復率は60%であった。
病巣の大きさ
修復ありの症例の病巣の大きさは、ESWT前の平均で0.74㎠(病巣の占拠率32.5%)→ESWT後の平均で0.05㎠(病巣の占拠率2.5%)であった。改善率は93.2%(0.74㎠→0.05㎠)と病巣の大きさはESWT前に比べてESWT後に有意に縮小していた。
① 病変の安定性
岩瀬のX線病期分類では、透亮期の5例全て、分離期前期の9例中6例、分離期後期でも6例中1例で修復ありであった。また岩瀬のX線分類では検者間に差が存在するということなので、CTでの分類も行った 12) 。西中らのCT所見による不安定性分類 8) では、Type1の2例中2例、Type2の13例中7例、Type3の3例中1例で修復ありであった。(2例はESWT前にMRIはしているがCTをしていない症例で不明とした)CTフォローにおいて、成績不良8例は、Type3aかType3bであったか或いは途中でType3aかType3bに移行したものであった。一方、成績良好な症例のほとんどが、Type1かType2であったが、Type3が1例あり、途中からType2に移行して不完全ながら修復が得られた。
照射前の安定性が成績に影響すると考えられたが、ESWT前のCTからはTypeが変化してくるので、照射前のCTだけでは適応を決めるのは難しいと判断した。
ESWT前にMRIを行った症例があったが、MRI所見で関節軟骨面の不整像や、T2強調像における関節面における関節面から軟骨下骨に連続するliner T2 high(high signal interface)などは、不安定性を示す所見であるといわれているが 12) 、それらの所見があっても修復が得られた症例があった。修復が得られたすべての症例にBML(Bone marrow lesion:骨髄異常病変)を認めた。
照射前に不安定性のある症例でも、照射していると安定性が得られた症例があった。岩瀬のX線分類の分離後期やCT分類のType3の症例といった病変の不安定性のある症例でも、照射を続けると修復が期待できる症例があると考えられた。これらにより保存的療法の適応とは異なりより広い適応があるのではないかと考察された。
1例でType3からType4に移行して、病巣の骨癒合は得られなかったが、母床の改善が認められ、ロッキングを起こさず競技復帰することができ高校3年生の最後の試合が終わってから手術を行った。当初、骨軟骨移植を予想していたが、母床の改善が得られていたので、骨片摘出と病巣掻把のみの縮小手術となった。つまり、病巣を縮小させる目的だけでもESWTをする意味はあると考えられた。
② 上腕骨小頭の骨端線閉鎖の有無
上腕骨小頭の骨端線の閉鎖前の13例中10例で修復が得られ、骨端線閉鎖後の7例中2例でも修復が得られた。(いずれも歴年齢は16歳)
骨端線閉鎖後でもESWTによる修復が期待できると思われた。西須らは患部への照射により、仮骨形成、骨皮質の肥厚などESWTが内軟骨性骨化と膜性骨化の両者を促進させることができるといっており 13) 、ESWTは骨端線閉鎖の有無に関係なく骨形成を促進させるメカニズムを誘導するのではないかと考えられた。
③ 病巣の形態及び占拠部位
中央型の12例中9例、外側型の2例中0例、広範囲型の6例中3例で修復が得られた。広範囲型の症例でも修復率が50%であった。
外側型の症例が少なかったためか、今回の結果では病巣の形態は成績に関与はなかった。
④ ESWT前の病巣の大きさ
CT画像による病巣の径、深さ、面積を分析した。
径は良好例では平均1.38cm、不良例では平均1.39cmであった。
深さは良好例で平均0.85cm、不良例で平均0.98cmであった。面積は良好例で平均0.74㎠不良例で0.86㎠であった。両者において平均の径はほとんど変わらず、成績不良例の方が成績良好例に比べて、平均の深さが深く、面積が大きい傾向にあった。
例外的に、Type3→Type4に悪化した症例では骨癒合は得られなかったが、病巣の大きさが1.38㎠→0.11㎠に縮小していた。
⑤ 成績良好例の検討:ESWT開始から復帰までの期間や治療回数の分析
ESWT開始から復帰までの期間は全体で5.3か月、透亮期平均5.0か月、分離前期平均5.8か月、分離後期8か月であった。
復帰までのESWTの回数は全体の平均で7.5回、透亮期平均6.4回、分離前期平均8.3回、分離後期9回であった。
不安定性の強い症例のほうが、回数や復帰までの期間を要する傾向があった。
また病巣の径や面積が平均より大きい症例の回数や復帰までの期間はそれぞれ9.4回と8.8か月であり、全体の平均の7.5回や5.3か月に比べて多い傾向があった。一方平均より小さい症例の回数や期間は5.3回と4.0か月と少ない傾向にあった。
病巣の形態が広範囲型の症例で修復が得られた3例の平均の回数は11.0回で復帰までの期間は9.3か月で平均の7.5回や5.3か月に比べて多い傾向にあった。
これらの結果は病巣の深さや大きさや病巣の形態が骨癒合の成績に影響を与えるわけではなく、ESWTの回数や復帰までの期間に影響を与える可能性の因子であると考えられた。ただ、期間や回数が多くかかると金銭的にも精神的にもきつくなってくるので、ドロップアウトの可能性や治療に専念できない可能性が高くなるので、あらかじめ病巣が不安定にならないような指示をして、期間がかかる説明をしておく必要があると考えられた。
早期に回復した症例:修復が得られた12例のうち、透亮期3例、分離期前期3例の6例が5か月以内(最短で4か月)で修復が得られ従来の自然経過を見る諸家の報告による保存的療法の期間である6か月以上かかるという期間よりも早期に競技に復帰することができ、安定性が得られさえすれば従来の保存的療法よりも早期に復帰することが期待できる。
⑥ 罹病期間(発症からESWT開始までの期間):成績良好例 VS 成績不良例
成績良好例の罹病期間は平均5.2か月で成績不良例の罹病期間は平均7.3か月と罹病期間が短ければ成績が良かった。発症当初から治療に取り組む方が成績良好であることが予想された。
⑦ 治療に専念の有無
成績良好の12例中8例は治療に専念できた。成績不良の8例中3例は何らかの社会的理由で治療に専念できなかった。
分離期前期でしかも骨端線閉鎖前であるにも関わらず修復が得られなかった症例の多くはやはり途中で試合に出場したりして治療に専念できなかった。一方、治療に専念したにもかかわらず修復が得られなかった症例もあれば、途中で試合に出たりして治療に専念できなかった症例でも成績良好であった症例もあったので、必ずしも治療に専念できれば骨癒合が得られるというわけではなかった。実際のところ治療に専念できているかどうかの判断は本人の訴え以外の情報がないので判別困難であった。印象になるが、分離期やType2やType3といった不安定性の強い一番安静にしなくてはならない時期に治療に専念できなかった症例の成績が不良であった。
⑧ LIPUS(低出力超音波パルス)の併用の有無
当院では治癒を早期に確実に目指すという趣旨から、基本的に全症例に対してLIPUSを推奨した。特にESWT治療直後はその効果を増幅させる意味で推奨した。ただし、すべての症例で同様にLIPUSが確実に毎日行われていたかどうか或いは照射部位が適切であったか、LIPUSが治癒向上に効果を発揮したかどうかは不明であった。

表 修復有りと修復無しの背景及び成績に影響すると思われた因子

  修復有り 修復無し p value
n 12 8  
年齢(歳) 13.6 13.0 0.384
性 男/女 9/3 8/0  
透亮期/分離前期/分離後期 5/6/1 0/3/5  
骨端線閉鎖前/閉鎖後 10/2 3/5  
中央型/外側型/広範囲型 9/0/3 3/2/3  
罹病期間 か月 5.2 7.3 0.478
病巣の大きさ cm2 0.75 0.87 0.477
ESWT回数 回 7.3 9.3 0.158
ESWT治療期間 か月 5.7 6.8 0.506

代表症例

症例1:12歳男性、野球 骨端線閉鎖前 CTでType2→Type2→成績良好

  • 症例1:12歳男性、野球 骨端線閉鎖前 CTでType2→Type2→成績良好

症例2:16歳男性 野球 骨端線閉鎖後でも CTでType3b→Type2→成績良好

  • 症例2:16歳男性 野球 骨端線閉鎖後でも CTでType3b→Type2→成績良好

症例3:13歳男性 野球 骨端線閉鎖後 CTでType2→Type3a→成績不良

  • 症例3:13歳男性 野球 骨端線閉鎖後 CTでType2→Type3a→成績不良

症例4:16歳男性 野球 骨端線閉鎖後 CTでType3→Type4→成績不良

  • 症例4:16歳男性 野球 骨端線閉鎖後 CTでType3→Type4→成績不良

  • 分離期後期でも修復した画像

    分離期後期でも修復した画像

12歳 男性 野球 骨端線閉鎖前 岩瀬のX線分類で分離期後期 広範囲型

8か月間に9回のESWT

CT画像変化

  • 左から順に照射前 4か月後 8か月後 12か月後 不完全ながら修復が得られた

    左から順に照射前 4か月後 8か月後 12か月後 不完全ながら修復が得られた

13歳男性 野球 分離前期 中央型 骨端線閉鎖前

4か月間に7回のESWT

  • 左から順に照射前 4か月後 8か月後 12か月後 不完全ながら修復が得られた

    左から順に 照射前 2か月後 4か月後 6か月後のCT画像

    4か月後病巣占拠率が10%未満となり徐々に競技復帰を許可した

    6か月後のCTでは完全修復していた

考察

肘OCDの保存的療法の過去の報告によれば、松浦らは自然修復には初期で平均14.9か月、進行期で平均12.3か月を要したと報告した4)。一方LIPUS治療での完全修復期間は平均8.0~11.8か月であったとされている。これらはX線像での分析の結果である。光井らはLIPUSの治療効果をCTで分析して画像修復期間は、LIPUS群で平均4.5か月、non-LIPUS群で平均6.8か月であったとほかの報告より短く思われるが、その修復の判定基準が小頭に対する病巣の占拠率を20%以下としたことが短くなった要因と考えられたので参考の期間ではないと判断した7)。因みに我々は、病巣占拠率を20%ではなく、10%以下と厳しい目にした。その理由はESWT治療で病巣占拠率が20%未満となった症例を復帰させたところ、悪化させてしまった症例が2例ほどあったからである。10%以下と厳しい目にしてからは今のところ復帰後悪化した症例は認められていない。今回の我々の結果では、ESWT開始から修復に要した復帰までの期間は全体で5.3か月、透亮期平均5.0か月、分離前期平均5.8か月、分離後期8か月であった。それは透亮期や分離期前期であれば、自然修復例にかかる期間よりも圧倒的に期間が短い。つまりESWTで修復が得られた症例はほとんどの症例で半年もかからない期間で骨癒合が得られ競技に復帰している。従来は保存療法の中心は投球中止を主体とした局所安静だが、諸家の報告でも修復までに1年以上を要することが多かった。14)それを考えれば半年我慢すれば復帰できると思えば選手や親御さんの精神的苦痛がかなり軽減させることができるのではと思われた。また諸家の報告では自然修復による保存的療法の復帰までの期間では、透亮像の方が分離期よりも多くかかる報告であったが、今回の結果ではわずかではあるが透亮期が5.0か月、分離期前期が5.8か月と透亮期の方が復帰までの期間が短かった。また発症からESWTを行うまでの罹病期間が成績良好な症例の方が短かった。これらの結果は伊藤らの発症からESWT施行までが長いと修復が不十分である傾向があるとする報告と一致していた6)。ESWTに取り組むのであればできるだけ早期に取り組むことを推奨したい。

一方で光井らはLIPUSを行った症例でもCT画像で修復が得られず、51例中29例(56.9%)が手術に至っていると報告した7)。つまり臨床成績では43%がLIPUSによる修復率ということになる。我々が行ったESWTの床成績は20例中12例が成績良好で修復率が60%と高値であった。これらは、適応に遊離期を除外していたこともあるが、それ以上にESWTの効果が思った以上に良いと判断できる成績である。しかも成績不良例の中でType2であったにもかかわらずType3に移行して骨癒合が得られなかった症例は、治療に専念せず途中で治療をやめたり、我慢できず復帰したり、社会的理由で復帰せざるを得なかった症例である。とすれば、症例を選んで不安定性の残る重要な時期に治療に専念すればもっと修復率は上がることが期待できると考えられる。

照射の方法も成績に影響を与えると考えられたが、技術的なことなので成績に影響を与える因子として今回は項目には入れなかった。当院では全例で照射に使うスタンドオフは15mmのものを使用して、固定用アームは利用せず全例フリーハンドで行った。また病巣の確認はできるだけ正確に行うようにした。MRIやCTで立体的な画像で病巣の広がりや骨癒合が得られていない部位を確認して重点的に照射するようにした。特に画像フォローの結果により修復が得られていない部位を照射するように努めた。照射中も、画像を参考に被検者にできるだけ痛みを訴える部位を中心に照射して、痛みが減衰すればその部位の照射は「耕された部位」としてその部位の照射はやめてその周りを照射していくといったことを照射中繰り返した。そしてできるだけ多方向から全体に照射する様に努めた。

松浦らは上腕骨小頭の栄養血管は小頭骨端の後方から進入し、橈骨尺骨間から近位に向けて反回している骨間反回動脈の枝で、エコーでのドップラー検査により骨端線閉鎖前の方が、骨端線閉鎖後よりも血流量が多く、また保存的療法により修復が得られた症例のほうが修復の得られなかった症例よりも同血管の血流量が多かったと報告している15)。彼は栄養血管の血流量は病巣修復を決定する因子と結論づけているが、推測にはなるがESWTを病巣の周囲全体から照射したことによって、栄養血管の周囲に新生血管ができ血流量が増加したのではないかと考えられる。国際衝撃波学会の取りまとめによる経験による修復が期待できる疾患の中に、心筋の虚血性疾患というものがある1)。また西田らはヒト培養血管内皮細胞(HUVEC)に衝撃波をあてると、VEGFなどの種々の血管増殖因子の発現が亢進することを報告している16)。その報告では虚血領域の心筋に衝撃波を照射すると、組織中のVEGF発現の亢進だけではなく、毛細血管数の増加、心筋血流の改善、心機能の改善が認められたと報告している。また畑中らはこの効果は細胞膜に存在しているcaveolinやβ1-integrinといった圧感知を担う分子を介して血管新生を促していることを報告した17)。これらの報告はESWTが骨や軟骨内の、血管や神経にも作用して新生血管を増加させ骨内の血流量を増加させて修復を向上させていることが予想される。一方芹沢らはラット尾にリンパ浮腫を作成し、正常部との境界に衝撃波を照射すると、リンパ管新生が促進され、リンパ浮腫の改善が認められたと報告している。これらは正常部分と病巣部分の境界に照射すればより効果が上がる手法であると考えられる報告である。今後、それらの手技やエビデンスをしっかり離断性骨軟骨炎や骨壊死の病巣部分においても証明することができれば、治療効率が上がりもっと成績は向上するのではとESWTはOCDの治療において大きな期待ができる治療法になりえると思われた。

また今後、CT撮影は放射線被ばくの機会を少なくする意味で少なくしなくてはならないので、整形外科医の聴診器といわれる超音波検査の技術を向上させて、超音波検査では位置確認だけではなく、病巣の安定性の評価やドップラーにより栄養血管の血流量を測るなど多くの目的で使用するようにすべきであると考えられた。

岩瀬のX線分類の分離期後期やCT分類のType3などの不安定性が認められた症例であっても、ESWT照射により骨癒合が得られ、成績良好な症例があった。MRI所見で関節軟骨面の不整像やT2強調像における関節面における関節面から軟骨下骨に連続するliner T2 high(high signal interface)などが不安定性を示す所見であるといわれているが、それらの所見があっても修復が得られた症例があった12)。また、骨端線閉鎖後でも修復が得られ成績良好な症例があった。これらの結果は照射前に不安定性のある症例でも、照射していると安定性が得られる症例があると考察される。これらの結果はESWTの適応は従来の保存的療法の適応よりも広いと考察される。今後どのような症例にどういうテクニックで照射すれば安定性が得られるかを検証していきたい。

画像フォローについての考察であるが、より正確な骨癒合の状況を確認するためにはすべての症例により骨癒合に関しての情報量の多いCT画像フォローを定期的に行うことができればよいが、検査頻度の問題として放射線被爆の問題があり、MRIやエコーでの安定性の評価を交えながら骨癒合が得られたと予想された最終的な確認の目的でCTをすることが望ましいのではないかと思われた。ちなみに当院ではCT撮影時には体全体が入るのではなく肘だけ照射できるよう上肢だけCT内に入るようにしており、肘に関する被ばく線量は平均で2~3mGy(ミリグレイ)であり、CTの正当化と最適化を常に意識して撮影した。ただし今後できるだけCT撮影を少なくしたい。

今回はある程度画像所見で不安定性のある病変でも、照射を続けていけば安定化が得られ、骨癒合が得られ成績良好な症例を認めた。従来の骨端線閉鎖後であっても修復が得られた症例を認めた。これらの結果は、従来の保存的療法の適応の限界を超えた結果といえる。しかしながら、どういった症例がESWTの適応であるかどうかがはっきり示されたわけではない。修復が得られた5例のESWT前のMRI画像での共通所見で病巣周囲の骨髄病変(BML:Bone Marrow lesion)を認めた。ESWTの効果の一つに新生血管の増加というものがある。BMLは早期膝OAのMRI所見(WORMS)の一つであり、BMLの存在は早期の骨壊死の所見でもあり、まだ改善可能な所見であるとともにISMSTの指針によれば、経験的な治療対象となっている所見でもある。肘のOCDにおいてもBMLが存在する症例は治癒ポテンシャルを持っていて修復の可能性があるのではないかと考えられた。いずれにしても、ESWTの適応は血流が得られている部位は可能性があると考えられる。壊死になる前に血流が得られるようにすれば時間はかかるが骨癒合が期待できるのではないかと考えられた。

  • MRI所見 liner T2 high(high signal interface)

    MRI所見 liner T2 high(high signal interface)

  • MRI所見 BML(Bone Marrow Lesion)

    MRI所見 BML(Bone Marrow Lesion)

結論

今回の対象症例において、ESWTにより透亮期全例と分離期前期の特に骨端線閉鎖前の多くで修復が見られ、また分離期後期や骨端線閉鎖後でも修復した症例があった。以上から肘OCD病巣の早期の修復を促し、手術治療回避またはより小侵襲な治療法への誘導に寄与する可能性がある。

文献

1)ISMST Consensus Statement on ESWT Indications and Contraindications Naples, Italy, October 12th, 2016

2)Heidersdorf S ほか Osteochondritis dissecans in Musculoskeletal Shockwave Therapy Greenwich Medical Ltd.,ISBN 1-84110-058-7,pp255-261 2000

3)R Lyon,XC Lou ほか Effects of extracorporeal pulse activation on in-vitro lipopolysaccharides-treated chondrocytes 2014

4)松浦哲也 肘離断性骨軟骨炎に対する体外衝撃波治療 日本臨床スポーツ医学会誌:Vol.28 No.4, 2020

5)坂井周一郎ら 投球に伴う上腕骨離断性骨軟骨炎に対する収束型体外衝撃波の治療経験 日本臨床スポーツ医学会誌:Vol.27No.4, 2019

6)伊藤岳史 岩堀裕介ほか 上腕骨小頭離断性骨軟骨炎に対する収束型体外衝撃波治療の効果、JOSKAS Vol45: 288~289, 2020

7)光井康博ほか 上腕骨小頭離断性骨軟骨炎に対する保存療法―LIPUSとの比較―日本肘関節学会雑誌22(2)2015

9)西中直也 筒井廣明 ほか CT所見による上腕骨離断性骨軟骨炎の不安定性分類の試み 日本肘関節学会雑誌22(2)2015

12)大澤一誉 西中直也 ほか 上腕骨離断性骨軟骨炎の単純X線(岩瀬)分類における検者間の検討 日本肘関節学会雑誌24(2)2017

13)西須孝 守谷秀繁 ほか 体外衝撃波による長官骨過成長の誘導と骨端線閉鎖 成長期家兎大腿骨における動物実験 骨・関節・靭帯1995;8: 371-380

15)松浦哲也 肘離断性骨軟骨炎は小頭栄養血管の血流障害によって生じるのか?科学研究費助成事業研究成果報告書 課題番号:21591947 2012

8)岩瀬毅信ほか 上腕骨小頭骨軟骨障害 整形外科MOOK54、金原出版、東京、26-44, 1988

11)Takahara M, et al Classification, treatment, and outcome of osteochondritis dissecans of the humeral capitellum. J Bone Joint Surg Am 89: 1205-1214, 2007

12)LB, et al: MR imaging findings and MR criteria for instability in osteochondritis dissecans of the elbow in children. Eur J Radiol 81: 1306-1310, 2012

14)Matysuura T, et al: Conservative treatment for osteochondrosis of humeral capitellum. Am J Sports Med 36; 868-872, 2008

16)Nishida T,et al: Extracorporeal cardiac shock wave therapy markedly ameliorates ischemia-induced myocardial dysfunction in pigs in vivo. Cieculation. 110: 3051-61, 2004.

17)Hatanaka K, et al: Molecular mechanisms of the angiogenic effects of low-energy shock wave: roles of mechanotransduction. Am J Physiol Cell Physiol. 2016;311(3);c378-85.

18)Serizawa F, et al: Extracorporeal shock wave therapy induces therapeutic lymphagiogenesis in a rat model of secondary lymphedema. Eur J Vasc Endovasc Surg. 42: 254-260.2011.

ページトップに戻る