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体外衝撃波治療のご案内

体外衝撃波とは:衝撃波を患部に照射する整形外科では新しい治療法です。

対象となる疾患

足底腱膜炎(難治性:6か月以上治療経過)のみ保険適応 それ以外は完全自費

国際衝撃波学会では以下の疾患が対象とされています。足底腱膜炎、アキレス腱炎、アキレス腱付着部炎、膝蓋腱炎、上腕骨外側上顆炎、内側上顆炎、石灰沈着性腱板炎、骨折の偽関節、疲労骨折、早期の離断性骨軟骨炎、早期の骨壊死、舟状骨骨折

また、弱い照射では骨端線にほとんど影響を及ぼさないので骨端症(オスグッド、シーバー、ラルセン病)などにも有効とされています。野球肘の内側型(いわゆるハクリといわれる内側上顆骨端核障害)での難治例にも期待できます。

今まで、LIPUS(アクセラスやオステオトロン)だけではなかなか治らない方には期待できる方法です。腰椎分離症も有効と思われますが、脊椎の付近での使用は危険とされていますので行いません。

また、患部にあえて傷をつけることになる治療なので、その後の修復を早める意味で、骨にはLIPUSの併用、軟部組織にはアキュスコープなどの微弱電流との併用は非常に有効だと思われます。是非併用をお勧めします。

治療の特徴

1回の治療時間は約15分です。圧痛店や超音波検査で患部を特定してから治療を行います。

一定期間(2から3週間)をおいて、2から3回の複数回照射を行います。それ以降も改善が期待できる場合は行います。

麻酔などは不要です。傷跡は残りません。照射にはチクチクとした痛み(逆に痛みがあるところが患部)を伴いますが我慢できる範囲です。治療後には歩行や上肢であれば動かすことが可能です。

注意

体外衝撃波による治療は、完全なる除痛や骨形成(治癒)を保証するものではありません。また患者さまにより、疾患により、患部の程度により治療効果や治癒期間が異なります。平均治癒効果は60~80%と報告されています。

費用

足底腱膜炎(1シリーズ)5,000点(50,000円の保険適応)3割負担で16,500円
それ以外の疾患(税込) 1回目16,500円 2回目以降 一般の方8,250円、学生5,500円
2020年4月1日から、緊急枠での治療の際は、通常料金に加え、プラス2,750円とさせて頂きます。

治療予約

完全自費の方は、診療時間外に行います。枠は、午前診療の終わった後の、12時半以降13時まで 夕方診療前の3時以降4時まで、夕方診療後の7時半以降8時までに設定しています。ただし診療後の枠は多少前後することを了承してください。予約は診療にて行ってください。

院長の印象

8月から当院で収束型の体外衝撃波(デュオリスSP1)を導入して以来、非常に多くの患者様に利用していただいております。3か月以上経過して、治療効果がある疾患と治療効果が見込みにくい疾患とがいろいろ見えてきました。 長期成績ではないので明らかなことは言えませんが、短期の3か月の治療効果を報告させていただきます。

また先日衝撃波のセミナーに参加しましたので、体外衝撃波を多く行っている先生方の参考意見も報告させていただきます。

非常に効果がある疾患

膝及び肘の離断性骨軟骨炎(初期から進行期前期)
1年以上もLIPUSだけでなかなか治らなかった症例が3か月でほぼ完全に治りました。患者さんも私もびっくりするほどです。
残念ながら離断性骨軟骨炎でも進行期後期から終末期(遊離したタイプ)は効果が低いです。はじめのころは効果があるかなと思いましたが、その後は一進一退で衝撃波の限界と結論しました。

疲労骨折
脛骨疲労骨折や第5中足骨疲労骨折や上腕骨疲労骨折は非常に効果的です。しかし、効果的であるがゆえにすぐに復帰したり競技しながらなので、ゆっくり治癒しているという印象になりますが、治療に専念すればもっと早く治りそうです。
また骨の治療に関しては、いずれもLIPUSとの併用は効果的です。衝撃波をしたときは特にアクセラスやオステオトロンを併用してもらいたいです。

いわゆるゴルフ肘やテニス肘(上腕骨外側上顆炎)
他の治療でなかなか治らなかったが数回の治療で一気に症状が快方に向かったという患者様が多かったです。是非お困りの患者様には試していただきたいです。

比較的効果が認められている疾患

新鮮骨折
プロのバスケットボール選手やバレエダンサーに行いましたが、効果が高いですね。プロの選手や将来の方向性が決まる試合や舞台の前にどうしても早く治したい人は、高くつきますがやってみる価値はあります。もちろんLIPUSだけでも早くなりますが、収束型の体外衝撃波を使うともっと早くなります。

石灰沈着性腱板炎
完全に石灰化が完成したものではなく、急性期でなりたての石灰化は衝撃波が効果的です。すぐに痛みがとれて動くようになりました。

骨壊死
他院では治療の方法がないと言われた患者様が一か八かということで、2週に1回のペースで行っているとMRIで血流の改善が認められ、痛みも改善されてきました。期待できる治療法と思われます。

骨挫傷
新鮮な骨折だけではなく骨挫傷に対しても効果的です。ただ、骨挫傷はLIPUSだけでも効果があるので、よっぽど急ぐとき以外は必要ないかもしれません。

骨折偽関節や二分膝蓋骨
ゆっくりと効果が期待できますが、高いエネルギーでの治療が必要ですので、多少の痛みに耐える必要があります。

肘関節や足関節の陳旧性の剥離骨折
少し改善されるとその後すぐに無理をしてしまい、再骨折を起こした患者様はいますが、治療後一定の期間無理をせず固定していれば、効果が十分認められています。

拇指球の種子骨炎
数回の照射で効果が認められました。

効果があまり期待できない疾患

離断性骨軟骨炎の進行期後期から遊離した骨片がある遊離期
肘も足関節も膝も遊離骨片が認められるときは衝撃波の限界である可能性が高いです。ただし、小学生など手術するには早い時期には治癒能力が高いため、少しでも改善させるための方法として、少しは期待できます。

難治性足底筋膜炎
4例行いましたが2例はほとんど効果がありませんでした。もともと難治性なので治療効果が得られにくいでしょうが、保険適応でもあるのでもっと効果的であることを期待したのですが、今後数か月後に治療効果が出てくることもあるようですので、経過を追っていきたいと思っています。2例は症状の改善が認められました。

今後効果が期待できると思われる疾患(セミナーで他のドクターの治療経験をもとに)

半月板損傷(ロッキングしていない、半月板損傷)
PRP療法との併用が期待できそうです。

腰椎分離症
腰椎分離症も腰椎の疲労骨折なので効果が期待できる疾患です。当院ではまだ行っていませんが、離断性骨軟骨炎と一緒で、終末期のいわゆる偽関節化したタイプには困難と思われますが、初期や進行期前期の腰椎分離症には期待ができると思っています。他の医療施設でも安全性が確認できて、実行しているところがあるようです。技術的に確証できれば当院でも行っていく予定です。

腱板損傷
これは私自身ゴルフで傷めた腱板損傷部分に衝撃波を当てましたが、腱板損傷が軽度であったためか、非常に早く症状の改善が認められました。他の人にも試してもらいたいです。

骨端症(オスグッド、シーバー病、膝蓋骨骨端症)
子供の成長障害は低いレベル(0.30J以下)であれば全く問題ないことが証明されています。骨端線近くでも有効な治療効果が得られています。

前十字靭帯再建時の膝蓋腱採取部の痛み
膝蓋腱炎にも効果的ですが、腱採取部の痛みにも効果的であるようです。痛みの留に膝の伸展筋の強化が思うようにできない方には効果的です。

ばね指
すべてではないですが一部の症例には効果的であるようです。手術は絶対避けたい人にはやってみる価値があるかもしれません。

外脛骨の不安定な骨に対して
他院では有効であると報告されています。

以上 平成30年11月時点での経過を報告させていただきました。はっきり言って疾患や重症度を選べば非常に効果的な治療方法と思われます。(高い機器だけのことはあるという印象)導入されていないドクターは疑問的である方が多いですが、導入されているドクターはみなそう感じています。

院長の印象(第2弾:平成31年4月)

当院で行っている収束型の体外衝撃波の適応についてですが、ますますその効果を期待できる疾患が増えてきました。体外衝撃波の研究会で、ばね指に対しての治療効果、腰椎分離症に対しての骨癒合効果を発表されていました。当院でも数例ばね指に対して行いましたが、全てではないですが改善される症例はありました。腰椎分離症に対して2例行いましたが、進行期後期から終末期に近い程度の高い分離症であったので、CT画像上での少しの骨癒合は認められましたが、劇的な効果を認めていません。今後症例を選ぶ必要があると思いました。石灰沈着性腱板炎や手の石灰沈着症に対して行いましたが、発表されていた先生の印象通り、完全に固体化してしまった石灰化は改善しにくいですが、まだ半分液体でエコーで押してみると柔らかい石灰は吸収消失が期待できます。石を砕くようになくなっていくのではなく、吸収を促す治癒機転が働き徐々に吸収されていくものと思われます。それ以外でも肩の関節鏡視下関節唇術後の疼痛や半月板損傷術後の疼痛に対しても、いわゆるクリーニング手術の後の残存する痛みに対しては効果が期待できます。術後の癒着など関節内や関節に近い奥の部分に衝撃波が届くので表面しか効果がない物理療法で改善しないようなものに対しては効果的ですね。手術後の残存する疼痛でお困りの患者様がいればやってみる価値はあります。特にシーズン途中でなかなか時間が取れなくて、速効性のある治療効果を期待できる方法です。いずれにしても物理療法や鍼灸治療などでいくらやっても効果が認められない選手や患者さんは一度相談してください。もちろんすべての症例に効くとは限りません。

当院にある体外衝撃波は収束型の体外衝撃波です。拡張型の体外衝撃波とは治療効果など全く違いますので是非お間違えの無いように注意してください。

院長の印象(第3弾:令和1年10月)

1年間の使用経験を踏まえて

9月中旬に大阪で衝撃波セミナーがあり、教育研修講演の演者として発表しましたので、その報告をさせていただきます。こういった機会を与えていただきました座長の熊井司先生や日本メディカルネクストの方々には感謝申し上げます。

今回のタイトルはスポーツ傷害に対するShock Waveによる画像変化というもので、昨年8月に当院で収束型の衝撃波を導入して以来の治療の結果をまとめて発表することにしました。特に、疼痛の改善ではなく、画像上の変化があった症例を選んで発表させていただきました。

発表した内容を報告させていただきます。治療を検討されている患者様や、衝撃波の導入を検討している先生方の参考になればと思っています。

当院での現在の適応疾患(国際衝撃波学会適応に準じて)は下記のとおりです。

  • 慢性疾患:変形性膝関節症の関節外の痛み 骨壊死
  • 離断性骨軟骨炎(初期から進行期:非分離型)
  • 疲労骨折や骨折偽関節 骨端症
  • 肘内側側副靭帯損傷 腱板部分損傷
  • 関節炎やヘバーデン結節、ばね指、あらゆる石灰化
  • 急性疾患:肉離れ 筋腱損傷
  • 靭帯損傷(急性及び陳旧性)
  • 新鮮骨折で早期復帰を希望するとき
  • その他 術創部や術後癒着部位の修繕効果?
  • 拡張型SW的な利用:画像に見えない損傷部分の疼痛改善や癒着剥離効果(特に低出力で利用)

当院で行ってきた症例(骨性組織)(H31.8-R1.8)

  • 肘(上腕骨小頭)OCD(15例 15肘 12-17歳 avg.13.8)
  • 膝(大腿骨内顆外顆)OCD(16例 17膝 7-16歳 avg.10.7)
  • 足関節(距骨滑車)OCD(4例 5足 11-22歳 avg.16.2)
  • 疲労骨折(脛骨、腓骨、踵骨、距骨立方骨、有鉤骨、舟状骨、肘頭、坐骨、尺骨、第5中足骨 足関節内顆) (25例 12-43歳 avg.17.5歳)
  • 骨壊死(9例 41-79歳 avg.68.5歳)
  • 新鮮骨折(橈骨遠位端、指節骨)
  • 骨挫傷
  • 陳旧性剥離骨折(腓骨遠位端 尺骨遠位端)
  • 骨折偽関節・変形治癒骨折
  • 骨折術後
  • 二分膝蓋骨・二分種子骨
  • 二分膝蓋骨・二分種子骨
  • 骨端症(シーバー病 オスグッド病)骨端線離開 骨端線損傷
  • 骨盤裂離骨折(上下前腸骨棘)
  • 石灰化(腱板、手など)

当院で行ってきた症例(疼痛緩和、軟部組織)

  • 足底筋膜炎
  • 肘関節症(上腕骨外側上顆炎 内側上顆炎、後方インピンジメント)
  • 足関節症、リスフラン関節症、距骨下関節症
  • 股関節症、膝関節症(半月板損傷、鷲足炎)
  • CM関節症 へバーデン結節、ばね指 腱鞘炎 TFCC損傷
  • 打撲傷 打撲血腫、肉離れ、筋腱損傷
  • 膝蓋靭帯炎、アキレス腱炎
  • リスフラン靭帯損傷 足関節外側靭帯損傷
  • 腱板損傷 肘内側側副靭帯損傷 肩鎖関節内症
  • 肩関節唇損傷 股関節唇損傷
  • 他、筋膜間リリースや腱付着部の徒手で取りにくい癒着に対しても

これらの疾患はすべて当院での体外衝撃波の適応になっています。

治療の組み合わせ

  • SW(shock wave)の前後に
  • 骨性疾患にはLIPUS(Low intensity Pulsed Ultrasound低出力超音波パルス:超音波骨折治療器:セーフス、オステオトロン、アクセラス):新鮮骨折に対しての治療期間の短縮だけでなく遷延治癒骨折や偽関節に対しての骨癒合促進効果や離断性骨軟骨炎の修復促進効果
  • 軟部組織疾患にはマイクロカレント(微弱電流:MC):アキュスコープやエレサス(サンメディカル社):マイクロカレント(MC)には傷ついた組織の修復をしたり、細胞の活性化させる役割:ミクロの傷を作るSWとは好相性(特に軟部組織修復や骨膜から血流の供給を受けている部分)
  • NBAやMLBではSWとアキュスコープの組み合わせがGood!

PRP療法を組み合わせる時

PRP療法とは、Platelet Rich Plasma(自己多血小板血漿)療法のことで、当院では変形性膝関節症に対してAPS(第2種)、軟部組織損傷や膝以外の関節に対してはGPS(第3種)を行っているが、

変形性膝関節症:SW→APS→MC 定期的にSWやMC

肘靭帯損傷や腱板損傷などの軟部組織損傷:SW→GPS→MC
その後、定期的にSWやMC

当院がOCD(離断性骨軟骨炎)に対して行った症例

  • 肘(上腕骨小頭)OCD(15例 15肘 12-17歳 avg.13.8)
  • 膝(大腿骨内顆外顆)OCD(16例 17膝 7-16歳 avg.10.7)
  • 足関節(距骨滑車)OCD(4例 5足 11-22歳 avg.16.2)
    (いずれの部位も遊離期(不安定性の強い症例)は手術適応としてSWは行わなかった)多少の不安定があっても骨端線閉鎖前で、CT上画像変化が認められる症例はSWを続けた。逆にスポーツ禁止していてもCT画像上の変化がない不安定性のある症例は、手術を勧めた
  • 肘OCD病期分類において透亮期及び分離期前期までが保存的療法の適応
  • 骨端線閉鎖以前が保存的療法の良い適応
  • 骨軟骨片の安定性の有無で適応を考慮
  • 遊離期は適応外とし当初から手術を薦めた

肘OCD(15例)の結果

  • 透亮期2例 分離期13例 遊離期 0例
  • SW平均7.0回(3-13回)
  • 期間 4.3か月(1-11か月)
  • 治療評価基準(Hughston)を用いた
  • Excellent3例 Good7例 Fair5例
  • 分離期後期でも修復が得られた。また成長期が過ぎても修復が得られた

OCDのSWの結果

  • 肘Excellent3例 Good7例 Fair5例(修復困難33%)
  • 膝Excellent3例 Good8膝 Fair6例(修復困難35%)
  • 足Excellent1例 Good1例 Fair2例(修復困難50%)
  • 修復困難と判断したFairの症例でも、OCDの大きさは縮小しており、手術の適応になった症例でも骨軟骨移植の大きさを少なくすることができたと実感している

OCDに対するSWの効果(院長の印象)

  • 肘OCDは症例を選べば比較的成績が良い
  • 膝OCDは荷重関節なので肘に比べて成績が悪い
  • 足関節OCDは成績が悪い
  • 骨端線閉鎖前は保存的療法が原則であるが、たとえ不安定性の強い症例でも、保存的療法の期間にスポーツ活動を禁止してSWをすれば、安定化してくることがある
  • 骨端線閉鎖後の多少の不安定性のある症例もSWにより修復が得られた症例があった
  • SWは保存的療法というより手術のドリリングの結果に近い印象を受けた
  • 手術を検討する前にやってみる十分な価値がある

画像変化の症例報告をしました。

肘(上腕骨小頭)、足関節(距骨滑車)、膝(内顆・外顆)骨壊死 疲労骨折(有鉤骨、脛骨、尺骨、第5中足骨)を合計19症例まとめて出しました。
レントゲン変化、CT変化、MRI変化など1症例に対して、SW前後や2か月ごとのCT変化、3か月ごとのMRI変化など最低4枚の画像、合計で数百枚の画像から選んだ2百枚程度の画像をお見せすることができました。かなり多くの画像量になるのでホームページ上ではアップできませんが、機会があればお見せしたいと思います。

発表前の2週間は診療の合間や、家に持ち込んでかなり多くの時間を費やして発表原稿と発表スライドを作成しました。放射線技師の尾上君や、衝撃波のデータ処理をお手伝いしてくれた、診療助手の小柳さんには感謝します。今は無事終了してほっとしています。
多くのスポーツ選手の為にこれからも精進していきます。

当院にある体外衝撃波は収束型の体外衝撃波です。拡張型の体外衝撃波とは治療効果など全く違いますので是非お間違えの無いように注意してください。

詳しくは院長に相談してください。

Nクリニック院長 中里伸也

スポーツ傷害に対するshock wave(SW)による画像変化(画像集)

前回は発表の内容についてお知らせしましたが、今回は実際の画像をお見せして、体外衝撃波の効果をご覧になってもらおうと思います。離断性骨軟骨炎(肘、足関節、膝)

症例①上腕骨小頭離断性骨軟骨炎

  • 初診時XP分離期

    初診時XP 分離期

  • 初診時CT 2か月後 4か月後 6か月後

    (左から)初診時CT 2か月後 4か月後 6か月後

  • (左から)初診時CT 2か月後 4か月後 6か月後

症例②足関節離断性骨軟骨炎

  • SW前

    SW前

  • SW2か月後

    SW2か月後

  • SW前(左) SW2か月後(右)

    SW前(左) SW2か月後(右)

症例③左膝OCD

  • 初診時CT

    初診時CT

  • SW6か月後CT

    SW6か月後CT

症例④膝骨壊死

  • 症例④膝骨壊死

  • SW前初診時 MRI

    SW前初診時 MRI

  • SW3か月後 MRI

    SW3か月後 MRI

症例⑤左脛骨疲労骨折

  • SW前 初診時XP

    SW前 初診時XP

  • SW1か月後 XP

    SW1か月後 XP

症例⑥尺骨疲労骨折

  • (左から)初診時 SW1回後 1回後 3回後

    (左から)初診時 SW1回後 2回後 3回後

症例⑦右有鉤骨疲労骨折

  • SW前CT(左) SW後6週後(右)

    SW前CT(左) SW後6週後(右)

症例⑧野球肘内側障害

  • SW前 初診時

    SW前 初診時

  • SW5回後

    SW5回後

変形性膝関節症(膝OA)に対するMRI精査及び体外衝撃波(ESWT)の治療の有効性

(文献的考察)令和2年9月16日 院長 中里伸也

当院では、2年前に収束型の体外衝撃波(ESWT)を導入して以来「あらゆる疾患の痛みの改善」「骨癒合の促進」「組織修復の促進」への治療の一つとして、体外衝撃波を行ってきました。当初は、国際衝撃波学会で認められている疾患を中心にESWTを行ってきましたが、最近ではそれ以外の類似疾患に対しても行っています。変形性膝関節症に対するESWTもその一つです。ただやみくもに、それらの類似疾患に行ってきたわけではなく、根拠があったので進めてきたのです。

当院では、開院以来ずっと「変形性膝関節症の症例」に対して「明らかな手術適応で手術に至った症例」を除いて、ヒアルロン酸の関節内注射やリハビリテーションで対応してきましたが「レントゲン所見では手術をするほどではないのに疼痛がなかなか改善しない症例」を多く経験してきました。また「他院で同様の治療をしても症状が改善しなかった症例」或いは、手術をするほどではないのに疼痛が改善しない、という理由によって「他院で人工関節や骨切りなどの手術を告げられた症例」も多くあります。中には「ヒアルロン酸の注射で症状が落ち着いていたのに、あるとき急に痛みが出てきたという症例」もあります。

一方「レントゲン所見でかなりの変形(末期の変形性膝関節症)があるので、手術の絶対適応であるが、いろんな理由(高齢のため、内科的な合併症のため、家族の介護やペットの世話などで入院して家を離れられないため、近しい人の手術がうまくいかなかったため、など)で、どうしても手術を受けることができない症例」が多数いらっしゃることも事実です。それらの症例に対しては、最近ではMRI精査をするようにしています。

第一の目的は「病態の把握」ですが、第二の目的は「ESWTをすることになったら、その照射部位を特定する」ためです。最近特に「変形性膝関節症に対するMRI精査が疾患の病態把握に非常に有用である」といわれています。

膝のOAのMRIの評価は、whole-organ MRI score(WORMS)法が有効であり、
① 軟骨病変
② 骨髄異常陰影(bone marrow lesion :BML)
③ 軟骨下骨陥凹(subchondral bone attrition: SBA)
④ 骨髄腫
⑤ 骨棘
⑥ 半月板病変
⑦ 靱帯
⑧ 滑膜炎
これらを「8つの病変」としてとらえ、各病変の重症度を3~6段階で評価することで、膝OAの病態の半定量化を可能にしたものです。その中でも②のBML(骨髄病変)は、膝OAの初期から観察され、疼痛や病態進行との関連が示唆されている病変であるといわれており、私が着目した病変です。すでに、国際衝撃波学会で認められている疾患の中に「早期の骨壊死」というものがあります。骨壊死の症例をMRI精査してみると、骨壊死の周辺に多くの骨髄浮腫様の所見があることには気づいていましたが、当初はその正体が何であるかはわかりませんでした。ある時、「変形性膝関節症の痛みがなかなか治らない方」「腫脹がなかなか治まらない症例」のMRI画像の中には、この骨髄浮腫様の所見が高率であることに気づきました。のちにこれがBMLであることを知ったのは、赤木教授の論文を読んでからのことです。膝OAのMRI上のそれらのBMLの所見が「骨壊死を有した症例」の骨壊死周囲の骨髄浮腫様の所見に非常に似ていたので「早期の骨壊死にESWTが有効なら、ひょっとするとこの膝OAのBMLにもESWTが効果的であるのではないか?」と思い何人かの患者様にチャレンジングを行いました。そうすると、すべての人にではないですが、かなりの高率で患者様の膝の痛みの軽快と共に、ESWT開始3か月後には、MRI画像上のBMLが施術前に比べて明らかに縮小することを多く経験することができました。それが当院で膝のOAの患者様に衝撃波を始めたきっかけです。

それから実に多くの「膝のOAで痛みが続き、しかもMRI所見でBMLを有する」患者様にESWTを行ってきました。非常に効果があることを実感されていた患者様がほとんどです。ただ、そのように多くの患者様には非常に喜ばれている一方、効果が実感できない方もいれば「自費診療であるから」と言って、受けたくても受けられない患者様がいることも確かです。また、「どういった患者様には効果的で、どういった患者様には効果がないのか?その治療のタイミングはどうすればよいのか?その病態や作用機序はどうなっているのか?」など、まだまだ分からないことが多いのは確かです。そこで、最近BMLの存在を教えていただいた変形性膝関節症の大家である、近畿大学整形外科学教授の赤木將男先生にお会いする機会をいただき「BMLに対するESWTの効果」について相談させていただくと「まだそれらの効果についてはわからないことが多く、現状日本ではあまり知られていないが、可能性は十分あり得る」とのことでした。そして、今後は赤木先生と同大学講師である橋本和彦先生と共に、これらの体外衝撃波の膝関節症に対しての効果を実証するために、共同研究を進めていくことになりました。「体外衝撃波はBMLに対して果たして有効なのか?どういった機序でどういった症例に有効なのか?そのタイミングはどうであるのか?」をテーマに研究を進めてまいります。

ある時、橋本先生から海外の文献を一件紹介されました。「BMLは膝の痛みと関係しており、ESWTにより早くBMLの縮小と痛みの改善が認められた」という文献でした。それは2015年に発表されたものです。Fuqiang Gaoらによると「ESWTは膝の痛みの改善や痛みと関与するMRIでのBMLの縮小を非常に早く改善させ、機能的にも改善させる」と結論しています。そして「効果的で信頼ができ非侵襲的な技術で膝のOAを急速に改善させる治療法だ」とも言っています。つまり「ESWTは膝のOAの痛みの原因の一つであるBMLを速く改善させる機器である」ということを、海外の論文の中で見つけることができ、その時「この治療はきっと将来広まっていくべきで、多くの膝の痛みで困る患者様を救う治療になりえる」という予想が確信に変わりました。

ところが、前述したようにまだ日本ではそれらの研究や発表は皆無です。今後いろんな施設で注目される研究だと思われます。そして、本当に良い治療であれば必ずや多くの治療家に広まり、いずれ保険診療として認められるとも思っています。

先日、赤木教授や橋本講師との話の中で、変形性膝関節症の病態に骨粗鬆症が関与していることも教えていただきました。特に「骨粗鬆症がある人が無理に動きすぎて微細な骨折がおこりBMLが発生するのでは?」とのお話も受けました。実際、膝の痛みであるにも関わらず、骨粗鬆症の治療薬が奏功してくることを実証している文献も多数あります。また、福岡大学の山本卓明教授によれば「大腿骨内果無腐性骨壊死は本当の骨壊死ではない」と言っており「骨の中で微細な骨折が起こっており、骨壊死というよりも『圧排骨折』だ」とも話しています。それらの論文をみると、今後は変形性膝関節症の病態のとらえ方や治療方針が大きく変わってくる可能性を感じました。

私は、より多くの「変形性膝関節症の痛みでお困りの患者様」の生活の質が改善されることを切に願っております。他院でなかなか治らない膝の痛みでお困りの方がいらっしゃれば、ぜひ当院に来て、まずはMRI精査を受けていただきたく思います。また希望する方には骨量測定もさせていただきます。そしてESWTを一度受けてみてください。お待ちしています。

体外衝撃波は上腕骨小頭離断性骨軟骨炎の手術治療回避に有用か?

中里伸也(医療法人Nクリニック)
島田幸造(JCHO大阪病院整形外科)

Is the Extracorporeal shock wave therapy (ESWT) useful device to avoid the surgical treatment of the osteochondritis dissecans of the Humeral Capitellum?

はじめに

2016年に取りまとめられた国際衝撃波学会(ISMST)の指針 1) によると、関節症のない早期の離断性骨軟骨炎や早期の骨壊死は集束型体外衝撃波の標準的適応とされている。離断性骨軟骨炎に対する集束型体外衝撃波の発表を最初に行ったのは我々の渉猟しえた範囲では2000年のHeidersdorf S 2) らと思われるがその内容は不明である。またR Lyonらは2014年 InvitroでESWTの軟骨への効果を検証している 3) 。日本での発表は松浦哲也らが2018年と2020年に肘離断性骨軟骨炎に対する体外衝撃波治療を発表し、その中でも骨壊死や偽関節への有効性が示唆される体外衝撃波に肘離断性骨軟骨炎に対する可能性を求めたといっており、また今後有効な治療法になりうる可能性を秘めているといっている 4) 。坂井周一郎らが2019年投球に伴う上腕骨小頭離断性骨軟骨炎に対する集束型体外衝撃波の治療経験ということで2例の症例報告をしている 5) 。伊藤岳史や岩堀祐介らのグループも2019年、2020年に上腕骨小頭離断性骨軟骨炎に対する集束型体外衝撃波治療の効果について7例に対して発表を行っているが、画像上の改善が4例、不変が3例で、発症からESWT施行までが長いと修復が不十分である傾向があるといっている 6) 。つまり罹病期間が少なければ少ないほど良いと言及している。しかしながら、それらの発表ではいずれも数例の症例報告や治療効果についての傾向を示す考察だけで、どのような症例について効果的であったということは明確にされていない。我々の施設でも2018年に集束型の体外衝撃波を導入し、様々な疾患に対して行ってきた。その中の疾患の一つが今回症例をまとめた離断性骨軟骨炎である。当院では上腕骨小頭、大腿骨外顆内顆、距骨滑車の離断性骨軟骨炎や、大腿骨頭や膝関節の骨髄浮腫病変(Bone Marrow Lesion)や早期の骨壊死に対して多くの、集束型の衝撃波治療を行ってきた。その中で若年層のアスリートに多い、上腕骨小頭の離断性骨軟骨炎に対する体外衝撃波の臨床成績について後ろ向き調査を取りまとめることができたので報告する。

目的

今回の目的は、上腕骨小頭離断性骨軟骨炎(以下、肘OCD)に対する集束型体外衝撃波(以下、ESWT)の治療成績を分析し、成績に影響する因子を調査して、ESWTが手術治療の回避の点で有用であったかを検証することである。

対象と方法

当院で2018年8月から2020年8月までESWT治療を行い追跡可能であった肘OCD20例20肘を対象とした。平均年齢は12.9才(11~16)男性17例、女性3例。スポーツ種目は野球15例、体操競技2例、ソフトボール1例、剣道1例、BMX1例であった。

ESWTはDUOLITH SD1(STORZ MEDICAL, Switzerland)を用いた。照射はCTやMRI画像を参考に、被験者を肘最大屈曲させて、超音波検査でOCD病変の位置を決め、マーキングして、病巣部分に固定式アームは使わずフリーハンドでハンドピースを把持して照射を開始する。低いレベルから徐々に出レベルを上げていき、被検者の疼痛の耐えうる範囲の出強度まで上げて行った。出レベルは上腕骨小頭の骨端線閉鎖前では最大0.20mJ/㎟まで、骨端線閉鎖後では最大0.25mJ/㎟までとした。同部位を照射していると痛み刺激が弱くなり消失してくるので、病巣部位を立体的に想定しながら被検者の痛みの程度を細かく聞きながら、できるだけ多方向から病巣全体に照射できるように努めた。原則として2週間から3週間毎に、2500shotsを4Hzで照射した。数回照射した後の画像フォロー後の照射では、疼痛出現部位だけでなく、その画像所見で修復が得られていない部位を重点的に照射するようにした。

治療の続行と中止の判断及び競技復帰の時期
前回の画像と比べて改善が認められている間は治療の続行を推奨した。一方、前回の画像と比べてほとんど変化がなくこれ以上ESWTによる改善が期待できない症例に対しては基本的に治療を中止して手術を勧めた。ただし社会的理由ですぐに手術を受け入れることはできない場合もあるのでESWT治療を継続させるかどうかは任意とした。
CT画像で上腕骨小頭に占める病巣部の面積が10%未満になると骨癒合が得られた(完全修復及び不完全修復)として、徐々に競技復帰させた。競技中止期間から競技完全復帰までの期間までも理学療法士によりストレッチや筋力バランストレーニング、投球フォームチェックによる改善などのメディカルリハビリからアスレティックリハビリを行った。またすべての症例に対してLIPUS(低出力超音波パルス)を推奨してできるだけ回数を多く行うように推奨した 7)

Materials

初診時単純X線像による岩瀬の分類 8) で、透亮期5例、分離期前期9例、分離期後期6例。予め遊離期や腕橈関節の適合性不良や橈骨頭の近位化や前方亜脱臼や肥大など関節症変化を伴った症例は適応から除外した。

上腕骨小頭の骨端線閉鎖前の症例は13例、閉鎖後の症例は7例であった。

画像のフォローはX線画像かCT画像で行った。

CT画像により最終的に骨癒合が得られ完全修復したものを「Excellent」、骨癒合は得られたが関節面のずれが残るものの不完全修復したものを「Good」、骨癒合は部分的に認められるが病変が不安定なものを「Fair」、全く骨癒合が得られないものを「Poor」とし、「Excellent」と「Good」を修復ありとした。病巣占拠率は冠状面の中で一番大きく病巣が写っている画像を選び、その画像での小頭の面積に対する病巣の面積の比率とした。(病巣占拠率=病巣の面積÷小頭の面積)
なお骨癒合が得られた指標は病巣の小頭に対する占拠率が10%未満となったものとした。

正常な修復過程

  • 左から照射前 2か月後 4か月後 6か月後のCT

    左から照射前 2か月後のCT 4か月後 6か月後のCT

修復が得られなかった症例

  • 左から照射前 2か月後 4か月後のCT

    左から照射前 2か月後 4か月後のCT

病巣占拠率及び修復の指標

  • 病巣占拠率及び修復の指標

病巣占拠率=病巣の面積÷小頭の面積

病巣占拠率は冠状面の画像の中で一番病巣が大きく写っている画像を選び、その画像での小頭の面積に対する病巣の面積の比率とした。

骨癒合が得られた指標は小頭の病巣占拠率が10%未満となったものとした。

成績に影響すると予想された因子は以下の8つである

① 病変の安定性:X線による岩瀬の病期分類 8) 、CTによる評価 9) 、一部MRIによる評価 10)
② 上腕骨小頭の骨端線閉鎖の有無
③ 病巣の占拠部位(中央型、外側型、広範囲型) 11)
④ 病巣の大きさ:径や深さや面積及び病巣占拠率をCT画像により測定
⑤ 治療期間や治療回数
⑥ 罹病期間(発症からESWT開始までの期間):成績良好例 VS 成績不良例
⑦ 治療に専念の有無
⑧ LIPUS(低出力超音波パルス)の併用の有無 7)

これらの項目について結果をもとに検討した。統計学的検討はt検定を用い、危険率5%未満を有意とした。

結果及び考察

ESWTによる病変部の増悪例はなかった。また照射時に疼痛を訴える以外の有害事象を生じた症例はなかった。

臨床成績
Excellent 5例 Good7例 Fair8例 Poor0例 修復あり(Excellent及びGood) は20例中12例で修復率は60%であった。
病巣の大きさ
修復ありの症例の病巣の大きさは、ESWT前の平均で0.74㎠(病巣の占拠率32.5%)→ESWT後の平均で0.05㎠(病巣の占拠率2.5%)であった。改善率は93.2%(0.74㎠→0.05㎠)と病巣の大きさはESWT前に比べてESWT後に有意に縮小していた。
① 病変の安定性
岩瀬のX線病期分類では、透亮期の5例全て、分離期前期の9例中6例、分離期後期でも6例中1例で修復ありであった。また岩瀬のX線分類では検者間に差が存在するということなので、CTでの分類も行った 12) 。西中らのCT所見による不安定性分類 8) では、Type1の2例中2例、Type2の13例中7例、Type3の3例中1例で修復ありであった。(2例はESWT前にMRIはしているがCTをしていない症例で不明とした)CTフォローにおいて、成績不良8例は、Type3aかType3bであったか或いは途中でType3aかType3bに移行したものであった。一方、成績良好な症例のほとんどが、Type1かType2であったが、Type3が1例あり、途中からType2に移行して不完全ながら修復が得られた。
照射前の安定性が成績に影響すると考えられたが、ESWT前のCTからはTypeが変化してくるので、照射前のCTだけでは適応を決めるのは難しいと判断した。
ESWT前にMRIを行った症例があったが、MRI所見で関節軟骨面の不整像や、T2強調像における関節面における関節面から軟骨下骨に連続するliner T2 high(high signal interface)などは、不安定性を示す所見であるといわれているが 12) 、それらの所見があっても修復が得られた症例があった。修復が得られたすべての症例にBML(Bone marrow lesion:骨髄異常病変)を認めた。
照射前に不安定性のある症例でも、照射していると安定性が得られた症例があった。岩瀬のX線分類の分離後期やCT分類のType3の症例といった病変の不安定性のある症例でも、照射を続けると修復が期待できる症例があると考えられた。これらにより保存的療法の適応とは異なりより広い適応があるのではないかと考察された。
1例でType3からType4に移行して、病巣の骨癒合は得られなかったが、母床の改善が認められ、ロッキングを起こさず競技復帰することができ高校3年生の最後の試合が終わってから手術を行った。当初、骨軟骨移植を予想していたが、母床の改善が得られていたので、骨片摘出と病巣掻把のみの縮小手術となった。つまり、病巣を縮小させる目的だけでもESWTをする意味はあると考えられた。
② 上腕骨小頭の骨端線閉鎖の有無
上腕骨小頭の骨端線の閉鎖前の13例中10例で修復が得られ、骨端線閉鎖後の7例中2例でも修復が得られた。(いずれも歴年齢は16歳)
骨端線閉鎖後でもESWTによる修復が期待できると思われた。西須らは患部への照射により、仮骨形成、骨皮質の肥厚などESWTが内軟骨性骨化と膜性骨化の両者を促進させることができるといっており 13) 、ESWTは骨端線閉鎖の有無に関係なく骨形成を促進させるメカニズムを誘導するのではないかと考えられた。
③ 病巣の形態及び占拠部位
中央型の12例中9例、外側型の2例中0例、広範囲型の6例中3例で修復が得られた。広範囲型の症例でも修復率が50%であった。
外側型の症例が少なかったためか、今回の結果では病巣の形態は成績に関与はなかった。
④ ESWT前の病巣の大きさ
CT画像による病巣の径、深さ、面積を分析した。
径は良好例では平均1.38cm、不良例では平均1.39cmであった。
深さは良好例で平均0.85cm、不良例で平均0.98cmであった。面積は良好例で平均0.74㎠不良例で0.86㎠であった。両者において平均の径はほとんど変わらず、成績不良例の方が成績良好例に比べて、平均の深さが深く、面積が大きい傾向にあった。
例外的に、Type3→Type4に悪化した症例では骨癒合は得られなかったが、病巣の大きさが1.38㎠→0.11㎠に縮小していた。
⑤ 成績良好例の検討:ESWT開始から復帰までの期間や治療回数の分析
ESWT開始から復帰までの期間は全体で5.3か月、透亮期平均5.0か月、分離前期平均5.8か月、分離後期8か月であった。
復帰までのESWTの回数は全体の平均で7.5回、透亮期平均6.4回、分離前期平均8.3回、分離後期9回であった。
不安定性の強い症例のほうが、回数や復帰までの期間を要する傾向があった。
また病巣の径や面積が平均より大きい症例の回数や復帰までの期間はそれぞれ9.4回と8.8か月であり、全体の平均の7.5回や5.3か月に比べて多い傾向があった。一方平均より小さい症例の回数や期間は5.3回と4.0か月と少ない傾向にあった。
病巣の形態が広範囲型の症例で修復が得られた3例の平均の回数は11.0回で復帰までの期間は9.3か月で平均の7.5回や5.3か月に比べて多い傾向にあった。
これらの結果は病巣の深さや大きさや病巣の形態が骨癒合の成績に影響を与えるわけではなく、ESWTの回数や復帰までの期間に影響を与える可能性の因子であると考えられた。ただ、期間や回数が多くかかると金銭的にも精神的にもきつくなってくるので、ドロップアウトの可能性や治療に専念できない可能性が高くなるので、あらかじめ病巣が不安定にならないような指示をして、期間がかかる説明をしておく必要があると考えられた。
早期に回復した症例:修復が得られた12例のうち、透亮期3例、分離期前期3例の6例が5か月以内(最短で4か月)で修復が得られ従来の自然経過を見る諸家の報告による保存的療法の期間である6か月以上かかるという期間よりも早期に競技に復帰することができ、安定性が得られさえすれば従来の保存的療法よりも早期に復帰することが期待できる。
⑥ 罹病期間(発症からESWT開始までの期間):成績良好例 VS 成績不良例
成績良好例の罹病期間は平均5.2か月で成績不良例の罹病期間は平均7.3か月と罹病期間が短ければ成績が良かった。発症当初から治療に取り組む方が成績良好であることが予想された。
⑦ 治療に専念の有無
成績良好の12例中8例は治療に専念できた。成績不良の8例中3例は何らかの社会的理由で治療に専念できなかった。
分離期前期でしかも骨端線閉鎖前であるにも関わらず修復が得られなかった症例の多くはやはり途中で試合に出場したりして治療に専念できなかった。一方、治療に専念したにもかかわらず修復が得られなかった症例もあれば、途中で試合に出たりして治療に専念できなかった症例でも成績良好であった症例もあったので、必ずしも治療に専念できれば骨癒合が得られるというわけではなかった。実際のところ治療に専念できているかどうかの判断は本人の訴え以外の情報がないので判別困難であった。印象になるが、分離期やType2やType3といった不安定性の強い一番安静にしなくてはならない時期に治療に専念できなかった症例の成績が不良であった。
⑧ LIPUS(低出力超音波パルス)の併用の有無
当院では治癒を早期に確実に目指すという趣旨から、基本的に全症例に対してLIPUSを推奨した。特にESWT治療直後はその効果を増幅させる意味で推奨した。ただし、すべての症例で同様にLIPUSが確実に毎日行われていたかどうか或いは照射部位が適切であったか、LIPUSが治癒向上に効果を発揮したかどうかは不明であった。

表 修復有りと修復無しの背景及び成績に影響すると思われた因子

  修復有り 修復無し p value
n 12 8  
年齢(歳) 13.6 13.0 0.384
性 男/女 9/3 8/0  
透亮期/分離前期/分離後期 5/6/1 0/3/5  
骨端線閉鎖前/閉鎖後 10/2 3/5  
中央型/外側型/広範囲型 9/0/3 3/2/3  
罹病期間 か月 5.2 7.3 0.478
病巣の大きさ cm2 0.75 0.87 0.477
ESWT回数 回 7.3 9.3 0.158
ESWT治療期間 か月 5.7 6.8 0.506

代表症例

症例1:12歳男性、野球 骨端線閉鎖前 CTでType2→Type2→成績良好

  • 症例1:12歳男性、野球 骨端線閉鎖前 CTでType2→Type2→成績良好

症例2:16歳男性 野球 骨端線閉鎖後でも CTでType3b→Type2→成績良好

  • 症例2:16歳男性 野球 骨端線閉鎖後でも CTでType3b→Type2→成績良好

症例3:13歳男性 野球 骨端線閉鎖後 CTでType2→Type3a→成績不良

  • 症例3:13歳男性 野球 骨端線閉鎖後 CTでType2→Type3a→成績不良

症例4:16歳男性 野球 骨端線閉鎖後 CTでType3→Type4→成績不良

  • 症例4:16歳男性 野球 骨端線閉鎖後 CTでType3→Type4→成績不良

  • 分離期後期でも修復した画像

    分離期後期でも修復した画像

12歳 男性 野球 骨端線閉鎖前 岩瀬のX線分類で分離期後期 広範囲型

8か月間に9回のESWT

CT画像変化

  • 左から順に照射前 4か月後 8か月後 12か月後 不完全ながら修復が得られた

    左から順に照射前 4か月後 8か月後 12か月後 不完全ながら修復が得られた

13歳男性 野球 分離前期 中央型 骨端線閉鎖前

4か月間に7回のESWT

  • 左から順に照射前 4か月後 8か月後 12か月後 不完全ながら修復が得られた

    左から順に 照射前 2か月後 4か月後 6か月後のCT画像

    4か月後病巣占拠率が10%未満となり徐々に競技復帰を許可した

    6か月後のCTでは完全修復していた

考察

肘OCDの保存的療法の過去の報告によれば、松浦らは自然修復には初期で平均14.9か月、進行期で平均12.3か月を要したと報告した4)。一方LIPUS治療での完全修復期間は平均8.0~11.8か月であったとされている。これらはX線像での分析の結果である。光井らはLIPUSの治療効果をCTで分析して画像修復期間は、LIPUS群で平均4.5か月、non-LIPUS群で平均6.8か月であったとほかの報告より短く思われるが、その修復の判定基準が小頭に対する病巣の占拠率を20%以下としたことが短くなった要因と考えられたので参考の期間ではないと判断した7)。因みに我々は、病巣占拠率を20%ではなく、10%以下と厳しい目にした。その理由はESWT治療で病巣占拠率が20%未満となった症例を復帰させたところ、悪化させてしまった症例が2例ほどあったからである。10%以下と厳しい目にしてからは今のところ復帰後悪化した症例は認められていない。今回の我々の結果では、ESWT開始から修復に要した復帰までの期間は全体で5.3か月、透亮期平均5.0か月、分離前期平均5.8か月、分離後期8か月であった。それは透亮期や分離期前期であれば、自然修復例にかかる期間よりも圧倒的に期間が短い。つまりESWTで修復が得られた症例はほとんどの症例で半年もかからない期間で骨癒合が得られ競技に復帰している。従来は保存療法の中心は投球中止を主体とした局所安静だが、諸家の報告でも修復までに1年以上を要することが多かった。14)それを考えれば半年我慢すれば復帰できると思えば選手や親御さんの精神的苦痛がかなり軽減させることができるのではと思われた。また諸家の報告では自然修復による保存的療法の復帰までの期間では、透亮像の方が分離期よりも多くかかる報告であったが、今回の結果ではわずかではあるが透亮期が5.0か月、分離期前期が5.8か月と透亮期の方が復帰までの期間が短かった。また発症からESWTを行うまでの罹病期間が成績良好な症例の方が短かった。これらの結果は伊藤らの発症からESWT施行までが長いと修復が不十分である傾向があるとする報告と一致していた6)。ESWTに取り組むのであればできるだけ早期に取り組むことを推奨したい。

一方で光井らはLIPUSを行った症例でもCT画像で修復が得られず、51例中29例(56.9%)が手術に至っていると報告した7)。つまり臨床成績では43%がLIPUSによる修復率ということになる。我々が行ったESWTの床成績は20例中12例が成績良好で修復率が60%と高値であった。これらは、適応に遊離期を除外していたこともあるが、それ以上にESWTの効果が思った以上に良いと判断できる成績である。しかも成績不良例の中でType2であったにもかかわらずType3に移行して骨癒合が得られなかった症例は、治療に専念せず途中で治療をやめたり、我慢できず復帰したり、社会的理由で復帰せざるを得なかった症例である。とすれば、症例を選んで不安定性の残る重要な時期に治療に専念すればもっと修復率は上がることが期待できると考えられる。

照射の方法も成績に影響を与えると考えられたが、技術的なことなので成績に影響を与える因子として今回は項目には入れなかった。当院では全例で照射に使うスタンドオフは15mmのものを使用して、固定用アームは利用せず全例フリーハンドで行った。また病巣の確認はできるだけ正確に行うようにした。MRIやCTで立体的な画像で病巣の広がりや骨癒合が得られていない部位を確認して重点的に照射するようにした。特に画像フォローの結果により修復が得られていない部位を照射するように努めた。照射中も、画像を参考に被検者にできるだけ痛みを訴える部位を中心に照射して、痛みが減衰すればその部位の照射は「耕された部位」としてその部位の照射はやめてその周りを照射していくといったことを照射中繰り返した。そしてできるだけ多方向から全体に照射する様に努めた。

松浦らは上腕骨小頭の栄養血管は小頭骨端の後方から進入し、橈骨尺骨間から近位に向けて反回している骨間反回動脈の枝で、エコーでのドップラー検査により骨端線閉鎖前の方が、骨端線閉鎖後よりも血流量が多く、また保存的療法により修復が得られた症例のほうが修復の得られなかった症例よりも同血管の血流量が多かったと報告している15)。彼は栄養血管の血流量は病巣修復を決定する因子と結論づけているが、推測にはなるがESWTを病巣の周囲全体から照射したことによって、栄養血管の周囲に新生血管ができ血流量が増加したのではないかと考えられる。国際衝撃波学会の取りまとめによる経験による修復が期待できる疾患の中に、心筋の虚血性疾患というものがある1)。また西田らはヒト培養血管内皮細胞(HUVEC)に衝撃波をあてると、VEGFなどの種々の血管増殖因子の発現が亢進することを報告している16)。その報告では虚血領域の心筋に衝撃波を照射すると、組織中のVEGF発現の亢進だけではなく、毛細血管数の増加、心筋血流の改善、心機能の改善が認められたと報告している。また畑中らはこの効果は細胞膜に存在しているcaveolinやβ1-integrinといった圧感知を担う分子を介して血管新生を促していることを報告した17)。これらの報告はESWTが骨や軟骨内の、血管や神経にも作用して新生血管を増加させ骨内の血流量を増加させて修復を向上させていることが予想される。一方芹沢らはラット尾にリンパ浮腫を作成し、正常部との境界に衝撃波を照射すると、リンパ管新生が促進され、リンパ浮腫の改善が認められたと報告している。これらは正常部分と病巣部分の境界に照射すればより効果が上がる手法であると考えられる報告である。今後、それらの手技やエビデンスをしっかり離断性骨軟骨炎や骨壊死の病巣部分においても証明することができれば、治療効率が上がりもっと成績は向上するのではとESWTはOCDの治療において大きな期待ができる治療法になりえると思われた。

また今後、CT撮影は放射線被ばくの機会を少なくする意味で少なくしなくてはならないので、整形外科医の聴診器といわれる超音波検査の技術を向上させて、超音波検査では位置確認だけではなく、病巣の安定性の評価やドップラーにより栄養血管の血流量を測るなど多くの目的で使用するようにすべきであると考えられた。

岩瀬のX線分類の分離期後期やCT分類のType3などの不安定性が認められた症例であっても、ESWT照射により骨癒合が得られ、成績良好な症例があった。MRI所見で関節軟骨面の不整像やT2強調像における関節面における関節面から軟骨下骨に連続するliner T2 high(high signal interface)などが不安定性を示す所見であるといわれているが、それらの所見があっても修復が得られた症例があった12)。また、骨端線閉鎖後でも修復が得られ成績良好な症例があった。これらの結果は照射前に不安定性のある症例でも、照射していると安定性が得られる症例があると考察される。これらの結果はESWTの適応は従来の保存的療法の適応よりも広いと考察される。今後どのような症例にどういうテクニックで照射すれば安定性が得られるかを検証していきたい。

画像フォローについての考察であるが、より正確な骨癒合の状況を確認するためにはすべての症例により骨癒合に関しての情報量の多いCT画像フォローを定期的に行うことができればよいが、検査頻度の問題として放射線被爆の問題があり、MRIやエコーでの安定性の評価を交えながら骨癒合が得られたと予想された最終的な確認の目的でCTをすることが望ましいのではないかと思われた。ちなみに当院ではCT撮影時には体全体が入るのではなく肘だけ照射できるよう上肢だけCT内に入るようにしており、肘に関する被ばく線量は平均で2~3mGy(ミリグレイ)であり、CTの正当化と最適化を常に意識して撮影した。ただし今後できるだけCT撮影を少なくしたい。

今回はある程度画像所見で不安定性のある病変でも、照射を続けていけば安定化が得られ、骨癒合が得られ成績良好な症例を認めた。従来の骨端線閉鎖後であっても修復が得られた症例を認めた。これらの結果は、従来の保存的療法の適応の限界を超えた結果といえる。しかしながら、どういった症例がESWTの適応であるかどうかがはっきり示されたわけではない。修復が得られた5例のESWT前のMRI画像での共通所見で病巣周囲の骨髄病変(BML:Bone Marrow lesion)を認めた。ESWTの効果の一つに新生血管の増加というものがある。BMLは早期膝OAのMRI所見(WORMS)の一つであり、BMLの存在は早期の骨壊死の所見でもあり、まだ改善可能な所見であるとともにISMSTの指針によれば、経験的な治療対象となっている所見でもある。肘のOCDにおいてもBMLが存在する症例は治癒ポテンシャルを持っていて修復の可能性があるのではないかと考えられた。いずれにしても、ESWTの適応は血流が得られている部位は可能性があると考えられる。壊死になる前に血流が得られるようにすれば時間はかかるが骨癒合が期待できるのではないかと考えられた。

  • MRI所見 liner T2 high(high signal interface)

    MRI所見 liner T2 high(high signal interface)

  • MRI所見 BML(Bone Marrow Lesion)

    MRI所見 BML(Bone Marrow Lesion)

結論

今回の対象症例において、ESWTにより透亮期全例と分離期前期の特に骨端線閉鎖前の多くで修復が見られ、また分離期後期や骨端線閉鎖後でも修復した症例があった。以上から肘OCD病巣の早期の修復を促し、手術治療回避またはより小侵襲な治療法への誘導に寄与する可能性がある。

文献

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2)Heidersdorf S ほか Osteochondritis dissecans in Musculoskeletal Shockwave Therapy Greenwich Medical Ltd.,ISBN 1-84110-058-7,pp255-261 2000

3)R Lyon,XC Lou ほか Effects of extracorporeal pulse activation on in-vitro lipopolysaccharides-treated chondrocytes 2014

4)松浦哲也 肘離断性骨軟骨炎に対する体外衝撃波治療 日本臨床スポーツ医学会誌:Vol.28 No.4, 2020

5)坂井周一郎ら 投球に伴う上腕骨離断性骨軟骨炎に対する収束型体外衝撃波の治療経験 日本臨床スポーツ医学会誌:Vol.27No.4, 2019

6)伊藤岳史 岩堀裕介ほか 上腕骨小頭離断性骨軟骨炎に対する収束型体外衝撃波治療の効果、JOSKAS Vol45: 288~289, 2020

7)光井康博ほか 上腕骨小頭離断性骨軟骨炎に対する保存療法―LIPUSとの比較―日本肘関節学会雑誌22(2)2015

9)西中直也 筒井廣明 ほか CT所見による上腕骨離断性骨軟骨炎の不安定性分類の試み 日本肘関節学会雑誌22(2)2015

12)大澤一誉 西中直也 ほか 上腕骨離断性骨軟骨炎の単純X線(岩瀬)分類における検者間の検討 日本肘関節学会雑誌24(2)2017

13)西須孝 守谷秀繁 ほか 体外衝撃波による長官骨過成長の誘導と骨端線閉鎖 成長期家兎大腿骨における動物実験 骨・関節・靭帯1995;8: 371-380

15)松浦哲也 肘離断性骨軟骨炎は小頭栄養血管の血流障害によって生じるのか?科学研究費助成事業研究成果報告書 課題番号:21591947 2012

8)岩瀬毅信ほか 上腕骨小頭骨軟骨障害 整形外科MOOK54、金原出版、東京、26-44, 1988

11)Takahara M, et al Classification, treatment, and outcome of osteochondritis dissecans of the humeral capitellum. J Bone Joint Surg Am 89: 1205-1214, 2007

12)LB, et al: MR imaging findings and MR criteria for instability in osteochondritis dissecans of the elbow in children. Eur J Radiol 81: 1306-1310, 2012

14)Matysuura T, et al: Conservative treatment for osteochondrosis of humeral capitellum. Am J Sports Med 36; 868-872, 2008

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