変形性膝関節症

変形性膝関節症とは

変形性膝関節症とは変形性膝関節症とは、主に加齢を原因として、膝の軟骨がすり減り、痛みなどの症状を伴う病気です。
軟骨のすり減りによって膝関節の骨と骨が近くなり、やがてぶつかるようになると、骨棘というトゲが形成されたり、脚が変形したりします。中高年以降の発症が目立ちます。

変形性膝関節症の原因

変形性は、一次性のものと、二次性のものに大別され、それぞれ原因が異なります。
割合としては、一次性の変形性膝関節症が多くなります。

一次性

主に加齢を原因とします。長年にわたって膝関節への負荷がかかり続けることで、軟骨がすり減り、痛みが出ます。その他、肥満、膝に負荷をかける仕事・スポーツなどもリスク要因となります。

二次性

外傷、半月板切除後、炎症性・代謝疾患などによって、二次的に発症する変形性膝関節症です。

変形性膝関節症の症状

主な症状は、膝の痛み、膝の動かしづらさ、膝の腫れです。
進行の程度に応じて、以下のように、症状の種類や現れ方が変化します。

初期

  • 動き始めの膝の痛み
  • 階段の上り下りのときの痛み

通常、安静時には痛みがありません。また動作開始によって痛みが出ても、動いているうちに軽快してくることが多くなります。

中期

  • 動作中に続く痛み
  • 膝の曲げ伸ばしができない、真っすぐ伸ばせない
  • 膝の腫れ、不安定感
  • 脚の変形

痛みで膝を動かさない、動かさないことで可動域が狭まっていくという悪循環に陥ります。
また、膝の腫れや脚の変形が見られるようになります。

末期

  • 安静時にも膝が痛む
  • 立てない、歩けない
  • 脚の変形の進行

安静時にも膝が痛むようになり、立つ、歩くといったことが困難になります。また、脚の変形も進みます。
周囲の目が気になり、外出や人と会う機会が減り、社会性という面でも問題も大きくなってきます。

変形性膝関節症の診断と検査

変形性膝関節症の診断と検査クリニックに来られたら、今までの現病歴や治療歴を問診します。
身体所見の診察として、腫脹の有無や可動域制限圧痛部位を確認します。
その後、レントゲン検査(ローゼンバーグor立位正面、側面、スカイライン(軸写))で変形の程度をKL分類で分類をします。

変形性膝関節症の治療

保存療法

リハビリテーション

リハビリテーション主に膝関節まわりの筋力トレーニング、柔軟性改善、筋力強化、その方の目的に応じて徐々に動き方の訓練~アスレティックリハビリを行います。

注射

40代以上の方にはヒアルロン酸注射を行います。
(週に1回を5回行い効果判定→その後希望に応じて2週に1回持続投与)関節内水腫がある場合は穿刺して関節内投与を行います。

薬物療法

非ステロイド性消炎鎮痛剤や解熱鎮痛剤などを用いた薬物療法を行います。

装具療法

足底板(オーダーメイドのインソール、装具療法)を使用します。
症状の改善が得られなければ、MRI精査を行います。(BML骨髄異常病変や半月板損傷の有無、関節内水腫の有無を見ます)

体外衝撃波治療

体外衝撃波治療膝関節に外から衝撃波を当てることで、組織の修復を促すとともに、痛みの原因となる物質を減らすことができる治療です。BML(骨髄異常病変)や半月板損傷があれば体外衝撃波(ESWT)の適応となります。

APS療法

PRP療法患者様ご自身の血液から抽出したPRP(多血小板血漿)を、更に特殊な専門医療機器を用いることで、APS成分のみを抽出します。抽出したAPSを膝関節の疼痛部位に注射します。
関節内水腫があればAPS(自己蛋白溶液:第2世代のPRP療法)の適応となります。
APSを行う場合、APS+ESWTと組み合わせ治療を行うことが多いです。

MSC(自己脂肪由来幹細胞)

水腫の改善だけではなく、軟骨細胞を少しでも増やしたい方におすすめです。
MSCを行う場合も、MSCの持っている秒巣部に集まりやすいというホーミング作用をESWTが増強してくれるのでMSC+ESWTの組み合わせ治療を行います。

Coolief(疼痛管理用高周波システム)

色んな治療をしても、なかなか治らない場合や、手術を回避したい方におすすめです。
膝神経の焼灼をすることで、痛みを感じにくくすることができます。

手術療法

骨切り術、人工膝関節置換術

上記の治療法を行っても改善しない、手術をしてでも治したいという方は、骨切り術か人工関節置換術を行います。
関節の大きな変形、痛みによる歩行困難が認められる場合に適応となることがあります。
なお、手術が必要になった場合には、人工関節専門医を紹介の上、そのドクターと連携して、術前及び術後リハビリテーションを行います。

変形性膝関節に対するNクリニックの取り組み

「その膝の痛み、その方法で本当に治るのですか?」「その手術本当に必要ですか?」

変形性膝関節症の膝の強い痛みに対して

現在臨床で使用されている関節内注射であるヒアルロン酸やロキソニンなどの痛み止めの薬やシップなどの外用薬では、十分な除痛効果が得られていません。最近では痛みの感じる根本である脳に作用する、つまり中枢性の作用薬であるトラムセット配合剤や、リリカなどの薬がよく処方されるようになっていますが、副作用が多く、また長期で継続して服用を続けると、依存性が生じる可能性や服用中止時には離脱症状を起こす可能性もある薬で注意を要する薬です。
当院ではできるだけ副作用がある薬は使わない方針でいろんな治療に携わってきました。

ここで覚えておかなくてはならないことは変形性膝関節症のレントゲン分類の重度のKL4(終末期)であっても、男性では60% 女性では40%の方が無症候性と言われている(村木ら2009)事実があるということです。
つまり、重度の変形性膝関節症といった関節裂隙が消失してレントゲン所見で見るからに痛そうな変形に至っていても、男性では半分以上、女性では半分近くの方が無症候性つまり痛みなく過ごしている方が多く存在するということです。ですから大きな病院へ行って、「あなたの膝の変形は重度で末期の変形性膝関節症です。今すぐ人工関節の手術を受けてください。手術をしなければ治りません!」といわれても焦ってすぐに手術を受ける必要はありません。重度の変形があっても手術なしで生活できている人が数多くいるという事実を知ることが重要です。いかなる時でも手術は最終手段で手術以外に生活を過ごすことができる手法が数多く存在することを、患者様はもっと知って試してみる必要があるということです。

私は膝の変形をよく火山に例えます。休火山の時は痛みが出ません。活火山になると痛みが出ます。もちろん火山があれば噴火する可能性はあります。ずっと無症候性で過ごされる方は一生、休火山のままで終わるということではないでしょうか。要は痛みが出た、つまり噴火したのならばその噴火をできるだけ抑えて痛みができるだけ少なくでき、休火山の状態にすることができれば良いのではないでしょうか?

手術の目的は痛みを改善させるために変形した形を変えることという名目であるが、形を変えることは患者の目的ではなく、ドクターの手術の目的であることが多いのです。当然O脚(内反膝)があれば、関節軟骨がすり減りやすく痛みが出やすいことも事実です。また人前に出る仕事をしているので、極端な変形があれば見た目に良くないから手術をしたいということであれば、是非手術を受けてください。整形外科医は外科的治療を行う目的として、形をよりまっすぐにしようとすることは必要です。一方で患者様の本当の目的はどうでしょう?「形が曲がって困る」よりも、「強い痛みのために自分がしたいことができずに困っている」ということではないでしょうか?つまり患者の本当に必要なこと、つまり目的は形を変えることではなく、痛みをとることであるのです。もっと言うなら患者様の本当の目的は、「膝の痛みをとって自分がしたいことをできるだけ痛みなく行うこと」であるのです。痛みをとるということは患者にとっては手段であるということで決して目的ではないということを、膝の変形に対する治療に取り組むドクターは心得ていかなければなりません。
 そのドクターの目的と患者様の目的の違いが一致しないと、思うように痛みが改善しなかった時、上手くいくと信じていた患者様の気持ち、つまり痛みが取れると信じていた患者様の気持ちを裏切る結果となってしまいます。その時手術を終えた心無いドクターはこう言います。「手術は上手く行ってます!」と。ドクターからしてみれば形を変えることに成功したのでそういうかもしれませんが、患者からしてみれば痛みをとるという手段を達成されていないと、こういった問題が残ります。そこで手術を受けたことに後悔することになるのです。「この痛みが残っていればやりたいことができない」と。
 変形が強くても痛みがあまり出ない人がいる一方で、変形が少なくても痛みが強く出る人も多く存在します。痛みをとる手段を多く持ち合わせていない心無いドクターはこう言います。「痛みが改善しないなら手術ですね」そこで重症度の高くない変形性膝関節症にまで人工関節をしてしまうことになるのですね。可動域という犠牲を払って。それらのドクターやそのドクターの説明を受けた患者に言いたいですね。「その手術本当に必要ですか?」と。一方でもちろん形を変えること例えば骨切り術のような手術で痛みが出にくくすることはできることもあるが、果たして痛みをとるということだけにフォーカスしたら、骨切りだけが唯一の方法であるかを検討する必要があります。
私は決して手術が悪いといっているわけではありません。手術しか方法はないのですか?と問いたいのです。しかしながら、日本での教育システム上しょうがないということも患者様は理解しておかなくてはなりません。日本では皆保険制度のもとに医療を行っているので、保険診療が絶対である。保険診療以外の自由診療(自費診療は悪である)というように考えている昔ながらのドクターも数多く存在することも事実ですので。我々が提供している膝OAに対する治療は、すべて日本の薬事を通過した、また厚生労働省にて認可をうけて治療を行っているものばかりです。保険診療以外にも全世界にはエビデンスもしっかりして効果的な治療法が多く存在するという事実を、かかわるドクターも患者様も知るべきだと思っています。我々はそういったエビデンスがしっかりしており、薬事で通過した機械や認可された治療を中心に提供していきますのでどうぞ安心して治療を受けていただければ幸いです。

どの方法を取っても痛みが消えない場合には、最終的に人工関節置換術を選択するのは悪い選択ではないと思います。また一時的に痛みを取っても、いずれ痛みが出る可能性があるのなら、「体力があるうちに体力を必要とする人工関節置換術を受けておこう」という考えも間違ってはないと思います。手術によって起こりうる合併症や問題点の十分な説明をうけて納得したうえでそれらの手術を受けてください。特に整形外科であれば人工関節の手術や脊椎の手術は、術者の技術が治療効果に大きな差を生みます。ちょっとしたポイントを押さえて、手術を行わないと術後の残存する痛みに悩ませられる結果となります。当院では、その道の一流の術者と連携をとって紹介させていただくことができます。手術を考慮している方は是非ご相談してください。いったん手術を決断したら、できるだけ体力があるうちに受けてください。また手術後のリハビリも是非お任せください。手術前から痛みが強い状態が長く続くと、関節が固まって拘縮という状態や筋委縮と言って筋力が衰えてしまう状態になります。そういった意味で手術を受ける前或いは手術を受けた後のリハビリは非常に重要です。手術を決断された患者様には、手術前から手術後の目標とする生活やスポーツに復帰できるように、できるだけ協力を行っていきます。また手術が成功しても、中には疼痛感作のため(痛みを脳が覚えてなかなか忘れられない)痛みが残る場合もあります。その場合にもCooliefという神経焼灼法で痛みの緩和は可能です。
是非当院で手術前から手術後の一連の流れの全てをお任せください。手術だけを行なって上手く痛みが取れても取れなくても放っておくことは決して致しません。できる限りの対応をさせて頂きます。
一方で世の中にはどうしても手術を受けたくない、あるいは色んな社会的事情により、今或いは今後手術を受けることができないといった患者も多く存在します。ご自分の周囲に手術を受けて病態が悪化した人がいる。ご自分のパートナーの介護のために家を離れて入院することができないなど。そういった手術を受けた方が良いのはわかっているが、年齢的に或いは時期的に手術が受けることができない方も、是非当院でご相談ください。
当院には、保険適応の或いは自由診療による最新の治療を取り揃えております。
是非、多くの治療法を有する当院の治療の中からそれぞれの希望や時期に応じた最適な治療方針を選んでください。

保険診療にこだわるなら5つ

①投薬 痛み止めや湿布
②ヒアルロン酸関節内投与
③リハビリテーション
④装具 足底板やサポーター(一部自由診療)
⑤2023年夏頃からCooliefという神経焼灼術が保険適応になります

自由診療でも痛みの改善や軟骨再生を期待したいなら

①体外衝撃波治療(ESWT)
②PRP療法(当院では次世代PRP療法であるAPS療法)
③幹細胞治療(MSC)が始まりました。 幹細胞治療についてはより安全性の高い、確実な培養施設を選びました。
東京大学の福井尚志教授の言葉を借りれば、膝の痛みは軟骨下骨(BML)による痛みと滑膜炎由来の痛み(水腫)が大半を占めるということです。
MRI精査でBMLが認められれば是非体外衝撃波治療を受けてください。
一方で、保険診療として水腫を穿刺してヒアルロン酸を受けるも改善しない方(5回が目安)はAPS療法や幹細胞治療を考慮してください。
特に、当院での変形性膝関節症に対する体外衝撃波治療は日本で一番早くから行っており一番多く実績もあります。BMLを有する膝OAには是非お勧めです。まずはMRI精査をしてください。一方で体外衝撃波だけでは持続性が低いこともわかってきています。APS+ESWTといった組み合わせ治療の成績もそれぞれを単体で行う治療よりも長期において良い結果が出ています。特にスポーツなどを行っている方はAPSと体外衝撃波の組み合わせ治療をお勧めします。
一方で今後、当院では幹細胞治療(MSC)と体外衝撃波治療(ESWT)の組み合わせ治療も行なっていきます。特にMSCの持つホーミング作用といった病巣部に幹細胞が集まろうとする特徴は、ESWTにより増強されることがわかって来ています。また関節内に注入されホーミングした外因性の幹細胞は注入後のESWTを行うことにより、内因性の幹細胞を増やしていくことも実験レベルではあるが海外の報告があります。今後の細胞治療のスタンダードになってくることが十分期待されています。

その中で、料金体制も非常に参考にしてください。体外衝撃波は約1万円、APSは約30万円、幹細胞治療は約100万円となっています。値段の比率は1対30対100でありますが、効果は決してそうではありません。当然高い治療の方が或いはそれらの組み合わせの治療の方がより高い効果は期待できますが、せいぜい効果の違いは1対2対3ほどの違いです。よりコストパフォーマンスを重要視するなら体外衝撃波のみの治療がお勧めです。水腫とBMLが両方存在して痛みを何とかしたい場合は実績のあるAPS+ESWTの組み合わせ治療を選んでください。一方できるだけ多くの効果 つまり水腫を改善させて痛みも改善させてそのうえでできれば軟骨細胞を増やしていきたいという治療を選ぶならMSC+ESWTつまり幹細胞治療と体外衝撃波治療の組み合わせをお勧めします。
特に、幹細胞治療は当院においては初めての試みであるので膝関節の初めの30症例においては 細胞数が1億セルをカネカという大企業が提供するバイオマスター社の培養による内容で、90万円で提供します。それを過ぎると120万になりますので、より安くより安全にしかもより効果的に細胞治療を受けたい方は是非この機会にNクリニックの細胞治療を受けていただきたいと思います。

2023年春から大阪本町に開業する本町Nクリニックにも、岸和田のNクリニックで実績が得られた同じ治療を提供していきます。大阪本町から日本中の方により良い治療を提供していきたいと思っています。
是非 Nクリニック 本町Nクリニックに来院していただき、多くの変形性膝関節症の治療からあなたにとって今現在一番最適な治療をお選びください。心よりお待ちしております。

Nクリニック 理事長 中里伸也

当院の変形性膝関節症に対する治療の適応について

ヒアルロン酸、リハビリ、COOLIEF、体外衝撃波(ESWT)、PRP療法、自己蛋白質溶液(APS)、間葉系幹細胞(MSC)療法 どれを選択するか? 

当院の変形性膝関節症に対する治療の適応について

当院は整形外科のクリニックです。岸和田の本院では、再生医療に関していえば、細胞数や細胞の質など内容的には他院に負けない幹細胞治療を、より安い値段で、しかも他にはない体外衝撃波治療と組み合わせて提供していますが、再生医療を専門に行っているクリニックではございません。ですから、高額な再生医療である幹細胞治療だけを勧めることはありません。膝に関していえば、幹細胞治療を行わずともAPS療法やそれと体外衝撃波を組み合わせる治療で、重症度によっては幹細胞治療と同等の或いは他院で幹細胞治療だけを行っている場合よりも優れた結果を導き出しています。現に他院で幹細胞治療やPRP療法を受けて改善しなくて来られた患者様の中に、当院で体外衝撃波治療を行って症状の改善が得られる患者様は多数いらっしゃいます。再生医療を専門で行っているクリニックでは再生医療以外の他の選択肢がないため、人工関節手術だけを引き合いに出して、再生医療を強く勧められるかもしれませんが、当院では重症度や費用対効果を考慮してそれらの治療の中で一番適切な治療を提供しています。
また人工関節手術のエキスパートが多数在籍する医療機関ではありますが、手術を行っているクリニックでもありません。そういった意味で当院では無下に再生医療や手術を患者様にお勧めするつもりはございません。手術や再生医療以外の多くの選択肢を持ち合わせていますので、どうぞ安心して治療方針についてご相談ください。当然手術をした方が良い場合はそれらのドクターが担当します。
初めて、変形性膝関節症の治療を受けられる患者様は、まずは保険適応である、投薬、リハビリ、ヒアルロン酸を受けてください。痛み止めの薬はあまり多く服用することはお勧めできませんが、リハビリをして筋力強化、柔軟性の改善、動きの改善を行うことはすべての治療の基本になっています。またサポーターの一部や足底板(インソール)は保険適応で作成できますので遠慮なくご相談ください。
最近日本で保険診療として認められたCOOLIEFと呼ばれる膝関節の疼痛管理用高周波システムもその一つです。再生を期待する治療ではなく、痛みをどうにかしてほしいが、保険治療を選択したい方には非常に効果的な方法です。安全性を危惧される方もいますが、きっちり術後のフォローをしますので安心して受けていただけます。
また再生医療の有効性については少しずつエビデンスが認められていることも確かです。特に体外衝撃波との組み合わせ治療は再生医療をより効果的にするだけではなく、再生医療の効果が低いと思われる骨の痛みの治療まで改善してくれます。体外衝撃波は侵襲も少なく、非常に優れた治療法です。我々は体外衝撃波や再生医療に関しても正しい使い方を理解したうえで、その時その時のよりアップデートな正しいエビデンスをもとに、また我々独自の自験例(経験)をもとに、できるだけ適切な治療をより安く提供できればと思っております。今回は現時点での当院の治療方針についてお話しします。

当院に変形性膝関節症と診断された患者様が来院されてからの流れについて説明します。
今までの治療歴と臨床所見や立位X線によるKL分類とMRI所見による骨髄異常病変(BML)や軟骨下骨プレートの状態や滑膜炎の有無により治療方針の決定を行います。
治療歴がなければ、まず保険適応であるヒアルロン酸関節内注射を週に1回を合計5回行い治療効果を判定します。 その時腫脹(関節水種)があれば穿刺してヒアルロン酸を注入します。治療効果の判定は痛みが改善されているかと腫脹(関節水腫)が軽減しているかを観ます。改善が得られているまだ残っている場合にはその後2週に1回の注射を持続するよう勧めます。一方、それらで改善していなければ次の段階として、MRI精査を行う。他院や当院でヒアルロン酸の注射やリハビリの治療歴がある場合も改善していなければ次の段階に進みます。
またヒアルロン酸と同時並行でリハビリを行います。希望に応じてサポーターや足底板を作成することができます。
特に変形の重症度が立位正面X線像で得られるKL分類(Kellgren-Lawrence分類)にてGrede2(KL2)以下(早期や初期)であればヒアルロン酸とリハビリで症状の改善が得られることが期待できます。リハビリでは筋力強化や柔軟性の改善 動きの獲得の訓練を行いますが、滑膜炎(水種)がある場合には拡散型圧力波を滑膜炎に照射することも検討します。当院のデータで滑膜炎に対する拡散型圧力波の効果が実証されています。滑膜の中には内因性の幹細胞が含まれていて、そこを圧力波で刺激することにより滑膜炎の改善は得られると思われます。しかしながらすべてのKL2でヒアルロン酸の関節内注射で痛みの改善が得られるわけではありません。痛みが続く場合は次の段階に進むことをお勧めします。

MRI精査の目的

MRI精査の目的

観るポイントは半月板損傷や半月板逸脱がないか?軟骨損傷(軟骨欠損や軟骨層の菲薄化)がないか?骨髄異常病変(BML :Bone marrow Lesion)がないか?BMLに伴い軟骨下骨脆弱性骨折(SBIF :Subchondral Bone Insufficiency Fracture)や骨のう胞(SBC :Subchondral Bone Cyst)がないか?軟骨下骨プレート(SBP :Subchondral Bone Plate)の連続性があるかどうか?滑膜炎や関節内水腫があるかどうか?を注意深く観察します。
BMLがあれば→ESWTが有効
SBIFやSBCがあっても軟骨下骨プレート(SBP)の連続性があればBMLの痛みはESWT照射により改善する可能性が高い 研究結果によるとSBPの連続性がなければESWTの効果が低いことが分かってきました。時々SBPが変形している場合がありますが、連続性があればSBPが過去に断裂してその後修復したものと思われます。その場合でもESWTは効果的である場合が多い結果となっています。ただしすべてのBMLにESWTが有効であるわけではなく軟骨下骨の状態改善にはさらなる治療が必要だと考えています。赤木先生によれば、人工関節を最後に決断するかどうかの決め手は骨の痛みとお話しされています。滑膜炎由来の痛みより骨由来の痛みを改善させられるかどうかが今後の治療の戦略になってくることが考えられます。
滑膜炎→APS(PRP)/MSC
関節水種やMRI上の滑膜炎があり関節穿刺やヒアルロン酸注入で改善が得られなければ次にはAPSを考慮します。
APSは滑膜から吸収され、軟骨破壊の原因である悪いサイトカイン(IL-1やTNFα)の働きをブロックして関節内を良い環境に変えることが出来ます。PRPでも多少効果は期待できますがその効果はAPSの方がずっと優れているので、当院ではAPSを推奨しています。APSが効果的でなければMSC(間葉系幹細胞治療)が有効である可能性があります。APSとMSCが疼痛改善に寄与するメカニズムは異なります。APSは抗サイトカイン療法である一方で幹細胞は滑膜に直接働きかけて炎症を沈めてくれます。メカニズムが異なるのでAPSが効かない方でもMSCが効く可能性があります。逆により高額なMSCを他院で受けて改善しなかった症例でも当院でAPS+ESWTの組み合わせ、或いはBMLがあればESWTだけでも症状の改善が得られた症例もあります。他院でMSCやPRPで改善が得られない人でも当院では症状の改善が期待できます。

レントゲンの重症度別とMRI所見別での推奨する治療

初期のKL2→BMLがあり滑膜炎がなければESWT

痛みの改善に効果を発揮する治療法「体外衝撃波治療」

滑膜炎や関節内水種が少なければ、膝の痛みは骨や半月板由来であることがほとんどであるので体外衝撃波だけで改善が十分期待できます。BMLがあれば体外衝撃波(ESWT)はヒアルロン酸よりも疼痛改善効果が期待できます。また関節内水腫がある場合ではKL2でもAPS+ESWTで治療効果が高く期待できます。しかしながら関節内水腫が少ないのでKL2ではESWTだけの治療がおすすめです。KL2で軟骨下骨プレートが断裂している症例は皆無なので、MSCは必要ありません。
進行期のKL3→滑膜炎がなければESWTのみ or 滑膜炎があればAPS+ESWT
滑膜炎や関節水種がなけれESWTだけでも疼痛改善効果は期待できるが、 進行期であるKL3は治療後も無理をして動いてしまうと半月板が逸脱して病態がどんどん進行していくので治療後の病態変化に注意する必要があります。痛みが改善したからと言って活動を多くすると悪化する時期でもあるので慎重に動かねばならない時期です。BMLの進行によってはESWTだけでは痛みは改善しない可能性が出てくるのでESWTだけで痛みが改善しなければ3か月後に再度MRI精査して病態の悪化がないかを確認してください。特に軟骨下骨プレートに断裂が認められれば、ESWTの効果には限界があることが分かってきています。その場合はMSCが有効である可能性がありますが、KL3では軟骨下骨プレートが断裂している症例はまれですので、関節内水腫がある場合でもAPS+ESWTの組み合わせで十分と症状の改善が期待できます。関節内水腫や滑膜炎が持続するのは、軟骨の破壊成分を作り出す、炎症性のサイトカイン(インターロイキンー1,やTNFα)という悪い蛋白質の働きが活発になっているからです。自分の血液から加工して作り出す血小板に含まれているAPS(自己蛋白質)溶液を膝の関節内に入れることにより、悪い環境を良い環境に変えることができ、関節破壊を進まないようにすることができます。体外衝撃波とAPSを組み合わせて行うことにより、より効果的に症状の改善を期待することができることが分かってきています。また難治性の関節内水腫の方には集束型の体外衝撃波を骨に照射しても改善が得られません。一部の滑膜炎には拡散型の圧力波が有効であることも研究結果により判明しています。やってみる価値はあるかもしれません。

末期の変形であるKL4は、今までは人工関節の適応といわれていましたが、すべてのKL4に手術が必要なわけではありません。炎症が自然に軽快する場合もあるので、急いで手術を決めないで、手術以外の方法を試みることも考慮しても良いと思われます。
特に様々な社会的理由のために、いま手術という選択ができない方には、APSと体外衝撃波の組み合わせ療法やMSCと体外衝撃波の組み合わせ療法で病態を悪化させず症状の改善を期待することができます。しかしながらAPSで30万、MSCで90万程度の費用がかかってしまうので、慎重になって決めてほしい。また体外衝撃波は1回だけでは効果が限定的で、APSやMSCとの組み合わせ治療の効果を期待するときは複数回(1回につき7500円から1万円)の体外衝撃波の費用がかかってくるので、それも考慮に入れてほしい。またKL4の末期の変形であっても骨が強ければ必ずしも人工関節や高額の再生医療を行わなくても症状の改善が得られる可能性があります。そういった意味で再生医療や手術を行う前に体外衝撃波治療をまず行ってから、それでも改善しなければということで、納得して再生医療や人工関節置換術を決定してほしいと思います。
我々は、現在軟骨下骨プレートの断裂の有無で幹細胞治療の効果の違いを見出しています。
KL4→滑膜炎(関節水腫)がありMRIでBMLの軟骨下骨プレート連続性あり(断裂無)→自己蛋白質溶液(APS)+体外衝撃波ESWT
KL4で滑膜炎(関節水腫)があり、MRIでBMLの軟骨下骨プレート連続性なし(断裂有)→幹細胞治療(MSC)+ESWT

APSやMSCは、軟骨細胞だけでなく滑膜などの周辺組織にも作用します。特に、軟骨のメンテナンスに関わっている滑膜組織への作用はとても重要であると考えられます。また、軟骨下骨プレートが断裂しているような症例では、骨髄にまでAPSやMSCが浸潤して行くため、骨の状態を改善させる効果も期待できると考えています。しかしながら、軟骨下骨プレートが断裂している症例ではKL4末期の中でも変形が著しい場合が多く、もしMSCが骨髄まで入っていっても、症状の改善が限定的である可能性もあります。当院では、今後症例を集めてMSC投与が最適となるような適応基準を見つけていきたいと思っております。  
一方で、KL4であっても軟骨下骨プレートの断裂がなければ、MSCやAPSはほとんどが滑膜などに留まり、骨髄の中には侵入しないと考えられます。そうなるとMSCとAPSでは金額の差ほど著しい効果の差はないと思われるため、費用対効果を考える人にはAPSを推奨します。一方で、APSには無い効果を期待する人にはMSC治療も選択肢になります。 どちらか迷われている方はAPSと体外衝撃波の組み合わせ治療をまず行ってみて、それでも改善しなければMSC+ESWTを行ってください。MSCとAPSでは関節の痛みを取るメカニズムが異なるため、MSCを行う場合でもそれまで行ってきたESWTやASPは治療効果を増強する意味で無駄にはならないので、費用対効果を考慮する方は、まずは取り組みやすい治療から行っていくことをお勧めします。

MSCは当院に導入して1年足らずの治療方法です。特にMSCの効果に期待したい方はチャレンジする覚悟で試みてください。軟骨下骨プレートの断裂している症例に対しての効果はAPSに比べて圧倒的にパワーも持続期間も長いことも確かです。MRIでのフォローでの変化のスピードは速い。その分、治療後安静にしておかなければならない期間が長くなるので、治療後すぐに動きたい人には不向きであるので、そういった方はAPSを勧めます。
また再生医療や体外衝撃波では痛みの改善が得られず、とにかく痛みをどうにかしてほしい方は膝に限定されますが、COOLIEFと呼ばれる疼痛管理高周波システムをお勧めする。2023年春から保険適応として認められて、実費でも15万円保険利用だと2割負担で3万円3割負担だと4万5千円で治療を受けることができます。骨や軟骨が再生するわけではないですが、膝の4本の神経をその機械で焼灼して、痛みを感じないようにする治療方法です。とにかく痛みを何とかしてほしいという希望の方には非常に有効な治療方法です。本町Nクリニックで行っております。ご興味があれば、月曜日午前診の赤木先生の診察を受けてください。

年齢と治療効果について

APSは自己血液を採取して加工するので、患者さんの体質や生活習慣等によって効果が変わることが知られています。MSCもAPSやPRP同様、患者さん自身の細胞を用いるため、個人差が出やすい治療です。さらに、細胞は患者さんの年齢を引き継いでいるため、高齢者の方では一部の機能が低くなるとする研究結果もあります。

体外衝撃波は傷を作って再生を促すので、年齢や治癒能力による効果の早さに違いがありますが、治療効果は高齢でもあります。 COOLIEFは神経を焼灼して痛みを感じにくくする治療方法なので年齢には無関係に効果が期待できます。

費用と効果について

体外衝撃波は1回につき10,000円(3,500発) 7,500円(2,500発)2週に1回合計3回を1シリーズとして行い、その後4週から8週に1回続けていく。MRIでBMLや半月板損傷だけであれば数万円で効果が期待できます。PRPは1回につき6万円です。APSに比べて効果が低く、2回から3回の注入が必要です。APSは1回につき30万円(税別)2年から3年の持続期間があるがESWTを続けて行っていくことで効果の持続期間を延長できます。特に関節水腫がある人へは幹細胞と比較して費用対効果が高いのでAPS+ESWTがお勧めです。
MSCは1回につき1億セルで90万円(税別)、3,000万セルで70万円 、000万セルを3回セットで130万円、治療効果に応じて追加投与(ブースター投与)が必要なことがあります。MSC+ESWTはMRIでBMLも認め、軟骨下骨プレートが断裂していれば一番治療効果が期待できます。しかしながらかなり高額の治療費がかかるので慎重になって行うようにしてください。総括すれば、比較的廉価な治療を希望する方はまずはESWTから始めてください。費用対効果で選ぶ方はAPS+ESWT,一番効果が高いものを選ぶ場合はMSC+ESWTがお勧めです。保険診療にこだわるなり、痛みを取ることにこだわるならCOOLIEFがお勧めです。それが現時点でのNクリニックのおすすめ治療です。遠慮なくご相談いただければ幸いです。

変形性膝関節症の予防は?

変形性膝関節症の予防では、膝の酷使を避けること、柔軟性や筋力を維持することが大切です。

生活習慣の改善

正座はできるだけ避け椅子を使う、トイレも洋式を使う、座ったときに脚を組まない、脚を冷やさないといったことで、膝への負担を軽減できます。
また肥満は、膝への負担を増大させます。バランスのよい食事と運動で、適正体重を維持しましょう。

ストレッチ・筋力トレーニング

ストレッチや筋力トレーニングで、膝を中心に柔軟性、筋力を維持しましょう。
椅子に座った状態で脚を上げる、湯船の中で膝を曲げ伸ばしするといった方法が有効です。

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