仙腸関節障害とは
骨盤を構成する仙骨と腸骨の間にある関節を、「仙腸関節」と呼びます。脊椎の最下部に位置し、上半身と脚のつなぎ目として、骨盤を安定させる役割を担っています。
仙腸関節障害とは、この仙腸関節が緩んでしまう・固くなってしまうことで、痛みなどの症状をきたす障害です。
仙腸関節障害の原因
腰をひねる、脚を前後に大きく開く、中腰での作業、外傷などによって、骨盤に偏った負荷がかかることで発症すると言われています。
骨盤に左右非対称の力が加わることがリスク要因となるため、いつも重い鞄を決まった側の肩にかけている、座るときに脚を組む癖があるといった方は、発症リスクが高くなると言われています。
その他、女性の場合は生理周期や出産によって仙腸関節まわりの靭帯が緩み、それが仙腸関節障害の発症につながることもあるようです。
仙腸関節障害の症状
もっとも頻度が高いのが、臀部・腰の痛みです。それ以外にも、以下のような症状が見られます。
- 臀部、腰の痛み
- 脚のつけ根、下肢の痛み
- 階段の上り下りの際の痛み
- 立ちっぱなしの際の痛み
- 片足に重心をかけたときの痛み
- 大きく踏み出したときの痛み
- 歩行時の腰の痛み
- 長く座っているのが辛い
仙腸関節障害の診断と検査
問診や触診で、痛みの出方などを確認します。その上で、腰椎椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症など、似た症状を持つ疾患との鑑別のためにレントゲン検査、MRI検査などを行い、診断します。
仙腸関節障害の治療
保存療法
薬物療法
安静の上、鎮痛剤などを使った薬物療法を行います。
装具療法
サポーターやコルセットなどを使い、患部の安静を保ちます。
リハビリテーション
痛みに合わせて関節周囲のストレッチ、関節を安定させるための筋力トレーニングなどを行います。
仙腸関節障害の予防は?
仙腸関節障害の予防では、仙腸関節に大きい負荷、偏った負荷をかけないことが大切です。
重いものを持たない、持つときは動作の順序に気を付ける
重いものを持たないことは、他の腰の疾患の予防においても重要です。
また低い位置の物を持ち上げるときには、一旦腰を落とし、物を掴んで、それから立ち上がるという順番を守ってください。脚を伸ばしたまま、腰を大きく折って物を持つと、腰に大きな負担がかかります。
ストレッチ、筋力トレーニング
骨盤まわりのストレッチや筋力トレーニングは、仙腸関節にかかる負荷を軽減してくれます。
脊柱起立筋群や大殿筋など、骨盤の動きをコントロールする筋肉を中心に、無理のない程度にストレッチ・筋力トレーニングを行います。
ダイエット
太っている人は、身体が反り気味となり、仙腸関節への負担が大きくなります。
バランスのよい食事と運動によって、適正体重を維持しましょう。
身体に偏った負荷をかけない
骨盤だけでなく、身体全体において、左右どちらかに偏った負荷をかけないようにしましょう。
鞄をかける肩を交互にする(リュックを使用するのがおすすめです)、座るときに脚を組まない、利き足・利き手ばかり使わないといった対策が考えられます。