足底腱膜炎

足底腱膜炎とは

足底腱膜炎とは足底腱膜とは、足裏の指のつけ根からかかとまで伸びる腱膜であり、足のアーチ部分を支える重要な役割を果たしています。このアーチおよび足底腱膜があることで、足への衝撃が軽減されています。そして、足底腱膜で炎症を起こしている状態が「足底腱膜炎」です。
足への衝撃が吸収されにくくなったり、バランスがとりづらくなることで、歩く・走るといった運動に支障をきたします。

足底腱膜炎と足底筋膜炎の違い

足底腱膜炎と名前がよく似た疾患名として、「足底筋膜炎」があります。
足底“筋”膜炎は、足の裏にある筋肉の膜で炎症が起こることを指します。腱膜で炎症を起こす足底“腱”膜炎とは微妙に異なりますが、足底筋膜炎であっても実際には足底腱膜に関連した部位で炎症が起こることが多いため、両者を同じ意味、同じ疾患として扱うのが一般的です。

足底腱膜炎の原因

足底腱膜と骨が付着する部分で炎症が起こり、足底腱膜がスムーズに伸び縮みできなくなることが直接の原因です。
具体的には、スポーツなどによって繰り返し足の裏に強い衝撃を加えることなどが要因となります。頻度が高いのが、マラソン選手です。特にアスファルトなどの硬い地面を日々走行することで、足の裏への衝撃や負担がかかってしまいます。
その他、加齢による足底筋膜の柔軟性の低下、アーチのバランス低下、ふくらはぎ・アキレス腱の柔軟性不足、靴が合っていないなどの環境要因なども、足底腱膜炎の発症に影響するものと考えられます。

足底腱膜炎の症状

足底腱膜炎の症状足底腱膜炎の主な症状は、かかと、土踏まず、遠位部(土踏まず前方の広い部分)の痛みです。
主に、以下のような場面で出現します。なお、歩いているうちに痛み一時的に軽快することもあります。

  • 朝起きてからの第一歩目の鋭い痛み
  • 歩いているときの痛み
  • 立ち上がったときの痛み
  • 運動直後、翌日の痛み
  • つま先立ちをしたときの痛み

足底腱膜炎の診断と検査

問診、触診によって、痛みの出る部位を確認します。その上で、レントゲン検査、超音波検査、MRI検査などを行い、診断します。
レントゲン検査では、足底筋膜炎に伴って生じることのある踵の骨棘の有無を調べます。

足底腱膜炎の治療

保存療法

治療では保存療法が基本となります。
原則、スポーツは一時的に中止し、靴をクッション性の高いものに替えるといった対策も講じます。

リハビリテーション

リハビリテーションストレッチや筋力トレーニング、物理療法、足底腱膜に負担のかかりにくい姿勢・動作の習得などを行います。

薬物療法

非ステロイド性消炎鎮痛剤、湿布などを用いた薬物療法を行います。

装具療法

インソール、パッドなどを使用し、特にアーチ部分への負担を軽減します。

体外衝撃波治療

衝撃波を患部に照射し、短期的な疼痛緩和、長期的な組織修復を促す治療です。
現在、体外衝撃波治療が唯一保険適用されるのが、足底腱膜炎(足底筋膜炎)です。
※6カ月以上の保存療法を行なっても改善が見られない足底腱膜炎に限られます。

PRP療法

患者様の血液から成長因子を含むPRP(多血小板血漿)を抽出し、患部へと注射します。
PRPに含まれる成長因子が、傷ついた組織の修復を促します。

手術療法

手術にまで至るのはごく限られた症例です。
手術が必要になった場合には、速やかに提携する病院をご紹介します。

足底腱膜炎の予防は?

足底腱膜炎は比較的、予防によって防ぎやすい疾患です。他の下肢の疾患の予防にもなるため、積極的に取り組みましょう。

オーバーワークを防ぐ・練習環境を整える

オーバーワークは、足底腱膜炎だけでなくさまざまな疾患・ケガのリスク要因となります。
指導者と相談しながら、適切な練習量を維持しましょう。
また、長距離を走る練習などでは、アスファルト(ロード)はできるだけ避けるようにしましょう。

ストレッチ・筋力トレーニング

足の柔軟性や筋力低下は、足底腱膜への負担を増大させます。
足やふくらはぎを中心とした下肢のストレッチ、筋力トレーニングを行いましょう。
椅子に座って足裏をマッサージしたり、ボールを踏んでコロコロ転がしたりといった方法も有効です。

クッション性のある靴を選ぶ・インソールを使う

クッション性のない靴は、歩く・走るときに足裏に大きな負担をかけます。クッション性の高い靴を選びましょう。
アーチが低い・高い場合には、専用のインソールを使うのが有効です。

サポーター・テーピングの活用

サポーターやテーピングは、アーチの維持に役立ちます。
ただし、誤った方法でテーピングを行うと、逆効果にあることがあります。専門家に指導してもらうことをおすすめします。

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