Nクリニック・本町Nクリニックの変形性関節症の治療フローチャート
Nクリニック・本町Nクリニックの変形性膝関節症に対する治療方針(ヒアルロン酸、リハビリ、PRP療法、APS療法、幹細胞治療、体外衝撃波、COOLIEF)
レントゲン検査:立位正面像(大腿脛骨関節)や側面像や軸写像(膝蓋大腿関節):→関節裂隙の狭小化や骨棘をみて変形のKL分類(重症度)を分類する KL分類(関節の隙間がどの程度残っているか骨棘がどの程度あるかを見る)
投薬療法(鎮痛剤、シップなど)やヒアルロン酸関節内注射(水腫があれば穿刺して注入 40歳以上に保険適応 週に1回を合計5回、それ以降は希望に応じて2週に1回) リハビリテーション(柔軟性改善、筋力強化、その方の目的に応じて徐々に動き方の訓練
3か月を目途に~インソールやサポーターも処方可能)
痛みだけを何とかしたいのであれば、2023年からCOOLIEFと呼ばれる膝の神経を焼灼して痛みを改善させる疼痛管理用高周波システム治療が保険適応となった。組織修復はないが、痛みを改善させるだけであれば十分効果は期待できる。本町Nクリニックで赤木ドクターが行っている。
症状の改善が得られなければMRI精査:BML骨髄異常病変、半月板損傷、軟骨損傷の有無や関節内水腫の有無を見る、BMLの軟骨下骨プレートの状態を見る。
以下は自由診療になります。
BML(骨髄異常病変)があれば体外衝撃波治療(ESWT)の適応、疼痛改善や軽度のBMLには有効である:BMLは関節の痛みと変形の進行にかかわる問題であるので、解決しておいた方が良いヒアルロン酸関節内注射+体外衝撃波治療(ESWT)の組み合わせ治療も期待できる。 ESWTは予約診療料として算定する。
但し同じBMLでも軟骨下骨プレートが断裂したBMLや骨嚢胞や骨壊死に陥ったBMLは体外衝撃波r治療だけでは困難で幹細胞の関節内投与と骨内投与の組み合わせを勧める。
ヒアルロン酸の関節内注射で改善しない滑膜炎や関節内水腫があればAPS(自己蛋白溶液:第2世代のPRP療法)の適応:水腫がたまり続けることは関節軟骨の破壊が進行するので、水腫の改善に効果的なAPSは滑膜炎由来の痛みの改善や軟骨破壊の進行を防ぐ意味で効果的である。
BMLと滑膜炎や関節水腫の両方があれば、APS+ESWTと組み合わせ治療を行うことをお勧めする。重症度の高い変形でも期待できる方法
APSでも滑膜炎や関節水腫が改善しないときにMSC(自己脂肪由来幹細胞)を関節内に注入する:また滑膜の状態が正常化すれば水腫の改善だけではなく軟骨細胞を少し増加させることが報告されている
難治性のBML(3か月以上ESWTを照射しても痛みやMRI所見が改善しないBML)に対して、骨内にMSCを注入することで骨を強化して、将来 人工関節置換術を回避できる可能性が高くなる(海外の長期経過の報告)特に、人工関節の適齢年齢に達していない、或いは身体的・社会的理由で手術が受けれない方には救いの方法である関節内MSC投与+骨内MSCの組み合わせ療法が非常に効果的である(値段は高いが他院の関節内への幹細胞投与と比べて高い治療効果が期待できる):絶対に手術したくないひと向けの究極の保存的療法!
その場合も MSCの持っている病巣部に集まりやすいというホーミング作用をESWTが増強してくれるので関節内に入れたときはMSC+RPWの組み合わせ治療を行う。
また骨髄内にMSCを入れたときはMSC +ESWTを行う。それぞれ単独の治療より相乗効果があることが認められている。
それらのどの治療も改善しない場合、身体的・社会的理由が許せば最終手段として手術を行う。手術は骨切り術か人工関節置換術(当院ドクター或いは連携施設へ紹介可能)人工関節専門医(赤木ドクター、真塚ドクター、藪野ドクターやその他の希望するドクターを紹介の上、連携して、術前及び術後リハビリテーションを行う。
PRP療法について
PRP療法とは、患者様から採取した血液からPRP(多血小板血漿)を抽出し、これを患部へと注射する治療です。
身体が持つ組織の修復力を高め、疾患の改善を促進します。患者様ご自身の血液を使用するため、重篤な副作用もなく、安心して受けられる治療です。
当院で扱う2種類のPRP療法
関節内PRP (次世代PRP・APS 及び GPSⅢ) 第2種
主に加齢を原因として発症する変形性膝関節症の治療では、まず運動療法やヒアルロン酸注射といった保存療法がとられ、重度の場合には手術が行われるのが一般的でした。
この中で、手術をするほどではない・手術の適応外だが保存療法では限界にきているといったケースで近年第3の選択肢として注目を集めているのが、バイオセラピーです。患者様ご自身の細胞や血液由来の成分を使用し、傷ついた組織の修復を促進します。
当院では、次世代PRPと呼ばれるAPSを使用していますが高額です。他の認可を受けた医療機関では、APSが登場する以前まではGPSⅢを関節内投与していました。
効果としてはAPSの方が高いものの、まずは試してみたいという方にはGPSⅢをおすすめします。
APS療法とは、良質のタンパク質と軟骨の健康を守る成長因子を、高濃度で抽出したものです。血液からPRP(多血小板血漿)を分離・加工することで、変形性膝関節症の治療に有効な成分を高濃度で抽出できるため、「次世代PRP」と呼ばれます。
従来タイプのGPSⅢは、抽出物が高白血球多血小板血漿であるのに対し、APSは自己タンパク質溶液です。活性本体はGPSⅢが血小板から放出される成長因子である一方、APSはさらに抗炎症性サイトカイン由来の成長因子も有しています。
GPSⅢが血管・組織新生を進めるための筋腱・靭帯組織修復に適しているのに対して、APSは疼痛・炎症改善効果が高く、半月板損傷や軟骨損傷などに適していると言われています。
PRP注入後の効果出現は、第2種の関節内PRPであれば2カ月後から、第3種の関節外PRPであれば2週間~3カ月後からが目安となります。
効果持続期間には大きな差はなく、どちらもおおよそ6~12カ月と言われています。ただし、海外では24カ月間持続したケースも報告されています。
対象疾患
- 変形性膝関節症
- 変形性股関節症
- 半月板損傷
- 軟骨損傷等の膝関節内の損傷
関節外PRP (GPSⅢ)第3種
肘内側側副靭帯損傷や腱板損傷において、手術には至らないものの、保存療法だけでは痛みが改善しない場合、試合に間に合わないといった場合には有効な手段と言えます。
また、注入前に体外衝撃波治療を行うことで、より高い効果が期待できます。
対象疾患
- 肘内側側副靱帯損傷
- 腱板損傷
- 膝関節内側外側側副靭帯損傷
- 上腕骨外側上顆炎(テニス肘 ゴルフ肘)
- 膝蓋腱炎(ジャンパー膝)
- 足底腱膜炎
- 肉離れ
- アキレス腱損傷 など
PRPに含まれる主な成長因子とその働き
血小板由来成長因子(PDGF-aa, ab, bb)
- 細胞の複製を刺激することで、血管の形成を促進します。
- 上皮の形成を促進します。
- 肉芽組織の形成を促進します。
形質転換成長因子(TGF-β1, β2)
- 細胞外マトリックスの形成を促進します。
- 骨細胞の代謝を適切に調整します。
血管内皮成長因子(VEGF)
- 血管形成を促進します。
線維芽細胞増殖因子(FGF)
- 細胞の複製を刺激することで、血管の形成を促進します。
- 血管形成を刺激します。
- 内皮細胞、線維芽細胞の増殖を促進します。
治療の目的
PRP療法は、PRP(多血小板血漿)に含まれる成長因子の働きを利用して、患部の痛みの軽減、傷ついた組織の修復を図る再生療法です。
PRP療法の対象となる疾患
- 変形性関節症(膝関節、足関節・股関節、指関節など)
- 靭帯損傷(肘関節、膝関節、足関節など)
- 上腕骨外側上顆炎(テニス肘)
- 上腕骨内側上顆炎(ゴルフ肘)
- 肘内側側副靭帯損傷(野球肘)
- アキレス腱炎
- 膝蓋腱炎(ジャンパー膝)
- 足底腱膜炎
- 手根管症候群
- 半月板損傷
- 肉離れ
- 四十肩、五十肩
- TFCC損傷 など
再生治療の長所・メリット
副作用が少ない
患者様ご自身の血液を使用するため、アレルギーや拒絶反応などの副作用のリスクは少なくなります。
また、繰り返し受けることが可能です。
外科的な手術が必要ない
メスを使った外科的な手術は必要がありません。そのため、お体へのご負担が抑えられます。
また、手術のような目立つ傷痕が残ることもありません。
外来で受けられる
入院の手間・時間が削減され、日常生活への影響も最小限に抑えられます。
激しい運動を数日避けるなどの一定の制限はありますが、ご帰宅後からほぼ通常通りの日常生活を送ることができます。
超急性期、急性期、亜急性期、慢性期のどの段階でも受けられる
基本的に、治療を受けるタイミングは問われません。
さまざまな疾患に対して効果が期待できる
筋、腱、靭帯など運動器の大半の疾患において、効果が期待できます。
再生治療の短所・デメリット
個人差がある
治療の効果、効果の持続する期間については、個人差があります。
適応にならないことがある
1カ月以内にPRP療法を受けた方、がん治療中の方、関節リウマチ・膠原病・心疾患・肺疾患・肝疾患・腎疾患のある方、薬剤過敏症の診断を受けたことのある方は、治療を受けられないことがあります。
注射後、一時的な炎症が残る
数日~1週間程度、炎症(痛み、熱感、赤み、腫れ)が残ります。
また採血・治療部位に皮下出血が起こることがあります。
感染症のリスクがある
他の手術、注射療法においても言えることですが、感染の可能性は完全なゼロではありません。
保険適用にはならない
公的医療保険は適用されません。
治療の方法
すべての治療は当日中に完了します。局部麻酔を行うことがあります。
Step1採血
1キット約26~52mLの血液を採取します。
Step2PRP分離
採取した血液を遠心分離しPRPを作製します。
当院ではその間に体外衝撃波治療も併用して行っています。
Step3施術
損傷部位に穿刺し、注入していきます。必要に応じて、超音波で正確な損傷部位を確認しながら行います。
治療後の注意点
- 治療当日の激しい運動や飲酒、マッサージなど治療部位に刺激が加わるようなことはお控えください。
- 治療当日は治療部位の感染を防ぐため、投与部位を浴槽につけないでください。なお治療翌日からは浴槽につけていただいて大丈夫です。
- 投与後、数日間は血流の良くなる活動(長時間の入浴、サウナ、運動、飲酒など)を行うことで、治療に伴う痛みが強くなることがあります。ただし、この痛みが強くなったからと言って、治療効果に差はありません。
- 違和感や不具合が生じた場合は、自己判断での処置や他院で治療するのではなく、診療時間内に当クリニックにご連絡ください。
- この他、もしも何らかの不調や気になる症状がみられた時は、遠慮なくお申し出ください。必要に応じて、ご説明又は医学的な対応をさせていただきます。また、何か新たな安全性の情報などが分かった場合は、すぐにお知らせします。
- 健康被害が発生した場合は適切な医療を提供し、協議に応じます。
PRP施術後の流れ
翌日から1週間は注射後、細胞が活性化・促進されるため、発赤や痛みを伴うことがありますが、その後自然消失していきます。
1週間以降は診察で、経過を確認しながら、各疾患に応じたリハビリテーションを進めて行きます。PRP療法3ヵ月後、6か月後にMRI検査を実施し状態の確認をします。
注射後、体の自然治癒過程を活性化させ、治癒・自己再生を促すため、部位にもよりますがスポーツ復帰には最低1か月かかります。その間はできるだけ患部を動かすことは避け、できればサポーターなどで保護しておくことをお勧めします。サポーターなどは当院提携施設のPEP OSAKA(トレーニング施設)で購入することができます。
他の注射療法との比較
PRP療法 | ステロイド注射 | ヒアルロン酸注射 | |
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概要 | 血液から抽出したPRPを患部に注射し組織の修復を促す。 | 強力な抗炎症作用と鎮痛作用を持つステロイドを注射し炎症・痛みを抑制する。 | クッションの役割を果たすヒアルロン酸を注射し痛みを抑制する。 |
効果の持続期間 | 6~12カ月 | 2~4週間 | 6カ月 |
安全性 | 患者自身の血液を使用するため安全性が高い。 | 短期間の繰り返しの注射によって腱がもろくなることがある。 | 医薬品承認を得ているため品質は安定している。 |
その他特徴 | ・疼痛改善ではステロイド注射と同等の効果が期待できる。 ・治癒効果ではヒアルロン酸注射より高い効果が期待できる |
・組織を修復する効果はない。 ・除痛効果は高いが組織の治癒能力が下がる。 ・スポーツ医学会では腺腫への投与が禁じられている。 |
・組織を修復する効果はない。 ・40歳未満への投与はできない。 |
治療にかかる費用
この治療は公的保険の対象ではありませんので、当病院所定の下記の施術料をお支払いいただきます。
PRP (多血小板血漿) ※京セラ社のコンデンシア使用 (白血球は調製可能) |
関節外(腱や腱板、筋肉内、靱帯、骨折部分など) 5,5000円(税込) (2から3回の注入が基本的) |
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関節内(膝関節、股関節、足関節) 6,6000円(税込) (2から3回の注入が基本的) |
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GPSⅢ ※ジンマーバイオメット社のキット使用 (白血球が豊富に含まれている) |
関節外(腱や腱板、筋肉内、靱帯、骨折部分など) 99,000円(税込) (1回の注入が基本的) |
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関節内(膝関節、股関節、足関節) 165,000円(税込) (1回の注入が基本的) |
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APS(自己蛋白質溶液) ※ジンマー社の再生医療キット使用 |
全て関節内投与(膝関節 股関節 足関節) 330,000円(税込) (1回の注入が基本的) |
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MSC(間葉系幹細胞治療) |
細胞数 3000万個 |
770,000円(税込) (6か月毎に3回の投与が基本的) |
細胞数 3000万個×3回 |
1,430,000円(税込) | |
1億セル | 関節のみ 1,320,000円(税込) (症状の改善によって追加のブースター投与を することがあります) (股関節は+55,000円) |
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骨髄内投与(5千万セル)+関節内投与(5千万セル) | 1,650,000円 | |
骨髄内投与(1億セル)+関節内投与(1億セル) | 2,200,000円(税込) (しっかりと術後のフォローができる方限定) (1回に2部位、膝と股関節、左右の膝関節や 股関節といった組み合わせが可能) |
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体外衝撃波(予約診療料として) 1回につき |
3,500発 | 10,000円 |
2,500発 | 7,500円 |
※股関節注入は1回注入に当たり5万円アップとなります
※カネカ(バイオマスター社)での培養施設での培養費用および管理費、移送費用が含まれます
※要予約制です。
※PRP療法は自由診療です。
体外衝撃波+PRP療法
また当院での新たな試みで、PRP療法を行う前に、希望する方に体外衝撃波をあてています。患部にミクロな傷を衝撃波で作って、材料であるPRPがあればもっと治癒効果が上がることは容易に理解できるでしょう。
その時の衝撃波は3500発で11,000円(税込)と別途費用がかかります。採血後の約30分の待ち時間中に行います。
施術後の物理療法やリハビリテーション
骨などの硬部組織であればLIPUS(アクセラス)、関節や軟部組織であれば微弱電流の治療を受けることをお勧めします。また拘縮を防ぐためや筋力増強などPRP注入後のリハビリは治癒効果をさらに高めてくれます。もともと治癒能力を引き出す効果があるため、それらをさらに高めるリハビリは是非行ってください。詳しくは医師にご相談ください。
PRP療法は日本ではまだ保険診療の対象外のため、自費診療扱いとなります。保険診療を受ける人PRPを受けられる日は同じであってはならないという決まりがあります。保険診療日と同じにならないように予約をお取りください。まずは、本治療の適応であるかを診断するためにも、一度診察を受診してください。治療適応の場合は、治療日を決めて実施していきます。まずはお気軽にご相談ください。
その他治療についての注意事項
患者様の体調が良くない場合や、採取した血液の状態によっては、PRPを分離できないことがあります。
その際には、再度採血をさせていただく場合があります。
また、PRPを濃縮する機器は定期的にメンテナンスを行っていますが、突然の不具合発生により、治療の日程やお時間を変更させていただくことがございますので、ご理解の程お願いいたします。
1回に両方の膝を一緒に受けることを希望される方は、片方ずつをお勧めします。1回に約60ccの採血を行いますので、両方だと体に負担が強いからです。しかし、肘と肩など関節外の2か所は同時に受けることはできます。
治療を受けることを拒否することについて
この治療を受けるか拒否するかは、ご自身の自由な意思でお決めください。説明を受けた後に同意されない場合でも、一切不利益を受けることはありません。また血液採取後に拒否してもそれまでかかった費用は全額お支払いいただきますので予めご了承ください。
ただし治療を行った後は、健康管理のために必要に応じて適切な検査を受けていただき、医学的に問題がないかを確認させていただきます。
個人情報の保護について
患者様に関する身体の状態や記録など、プライバシーの保護には充分配慮いたします。今後、学術雑誌や学会で結果や経過・治療部位の写真などを公表する可能性がありますが、患者様個人を特定できる内容が使われることはありません。
その他
当院はチームで医療を行っております。担当医の他に医師、看護師、放射線技師など複数の医療スタッフが必要な処置を担当する事がありますので、あらかじめご了承ください。
また、この説明書内に記載されている治療の経過や状態などはあくまで平均的なものであり、個人差があることをご了承ください。万一偶発的に緊急事態が起きた場合は、最善の処置を行います。
なお、治療に関して患者様が当院及び医師の指示に従っていただけない場合、当院は責任を負いかねますのでご了承ください。