アキレス腱炎、アキレス腱断裂とは
スポーツによる負荷などによってアキレス腱で炎症が起こることを「アキレス腱炎」、断裂してしまうことを「アキレス腱断裂」とそれぞれ呼びます。
足の動きを司るアキレス腱での炎症・断裂は、スポーツだけでなく日常生活への影響も大きくなります。
アキレス腱炎、アキレス腱断裂の
原因
いずれも、運動によってアキレス腱へと負荷がかかることで発症します。
具体的には、ダッシュ、ジャンプ・着地、武道によく見られる踏み込みなどの動きが挙げられます。
また、加齢に伴うアキレス腱の劣化も、アキレス腱炎・アキレス腱断裂のリスク要因となります。
アキレス腱炎、アキレス腱断裂の
症状
アキレス腱とアキレス腱断裂では、症状が異なります。
アキレス腱炎
- ふくらはぎからかかと後方の痛み、腫れ
- 押したときの痛み
- 運動時の痛み
- つま先を上げたときの痛み
- つま先立ちをしたときの痛み
アキレス腱断裂
- 受傷時のふくらはぎを強く叩かれた感覚
- 受傷時の「ブチッ」「バチッ」といった破裂音
- ふくらはぎからかかと後方の痛み
- 脚に力が入らない
- 断裂した側の脚に体重をかけられない
- つま先立ちができない
- しばらくすると歩行が可能になることも
アキレス腱炎、アキレス腱断裂の
診断と検査
問診、触診などを行い、超音波検査（エコー）、レントゲン検査、MRI検査などを行い、診断します。
MRI検査では、腱の状態を詳しく調べることが可能です。また他の疾患との鑑別にも役立ちます。
アキレス腱炎、アキレス腱断裂の
治療
保存療法
安静
患部を安静に保ちます。アキレス腱断裂の場合には、ギプスまたはシーネで固定し、腱の回復を期待します。
薬物療法
炎症に対しては、消炎鎮痛剤を使用することがあります。
リハビリテーション
アキレス腱炎、アキレス腱断裂のいずれの場合も、スポーツへの復帰のためには、低下した筋力や可動域を回復させるための関節可動域訓練、筋力トレーニングが重要になります。足の形状が崩れている場合には、インソールの使用が有効です。
体外衝撃波治療
身体の外から、アキレス腱へと衝撃波を照射します。損傷した腱の修復を促すとともに、痛みの原因となる物質を減少することで、治癒の促進・除痛がもたらされます。
PRP療法
患者様ご自身の血液から、PRP（多血小板血漿）を抽出し、患部へと注射します。PRPに含まれるさまざまな成長因子が、損傷した腱組織の修復を促進します。
手術療法
アキレス腱断裂の手術にはさまざまな種類があります。
アキレス腱炎の場合にも、場合によっては痛みの出ている腱を一部切除する手術が行われることがありますが、かなり稀なケースです。
手術が必要になった場合には、速やかに提携する病院をご紹介します。
アキレス腱炎、アキレス腱断裂の
予防は？
アキレス腱炎、アキレス腱断裂の予防には、以下のようなものがあります。
運動前や普段からのストレッチ
運動前だけでなく、普段から足首、アキレス腱のストレッチをすることが予防になります。
特に中高年の方は、アキレス腱の変性が進んでいます。日頃のストレッチにより、柔軟性を高めておきましょう。
運動後のアイシング
アイシングというと、トップアスリートがするものというイメージがあるかもしれませんが、ケガの予防という意味では誰もが取り組むべきことです。
運動後は、専用の氷嚢、保冷剤などを使って、アキレス腱、その他の酷使した部位をアイシングする習慣を身につけましょう。
自分に合った靴を履く
サイズ（縦の長さ）はもちろん、幅・形状にも注意しましょう。特に、かかと部とアーチ部分をぴったりと包んでくれるものが良いでしょう。
